教会暦(復活の時節)

教会暦(きょうかいれき/Church Year)はキリスト教で用いられている暦で、ルーテル教会では教会暦に従って毎週の礼拝を行ております。

教会暦は最初から完成していたものでは無く、歴史的に発展して形成されました。教会暦の発端は復活祭です。神の子イエス・キリストが十字架に掛けられて死に、お墓に葬られた時、弟子たちは誰一人復活するとは思っていませんでした。ところが預言通り三日目の日曜日の夜明け前に復活されたのです。この御復活に、弟子たちはまず驚き、次に喜びが爆発し、その喜びが沈静化せず、復活された日曜日を毎週お祝いすることが始まったのです。イエス・キリストの復活された日が、ユダヤ教の過ぎ越しの祭りの次の日でした。月の満ち欠けを基準とする太陰暦の過ぎ越しの祭りを太陽暦に換算して、春分の日の次の満月の次の日曜日を復活祭とすることになりました。ですから復活祭を基準とする四旬節や聖霊降臨祭などの日付が年によって移動するのです。一方、全聖徒主日や待降節やクリスマスなどの日付の移動しない祝日もあります。

教会暦は「降誕の時節」「復活の時節」「教会の時節」の3つに分かれています。日曜日は主日(しゅじつ)と呼び、主のご復活をお祝いする小祝日です。




2. 復活の時節 The Time of Easter

四旬節(しじゅんせつ)/Lenten Season

四旬節(しじゅんせつ/Lent) 典礼色:紫

四旬節(英語でレントLent、ラテン語でクァドラジェシマQuadragesima)は受難節、大斎節(たいさいせつ、聖公会)とも呼ばれていますが、復活祭を準備するための四十日(日曜日は除く)の期間を指し、復活祭の7週間前の水曜日の「灰の水曜日」から始まります。ラテン語Quadragesimaは四十を意味する言葉、英語のLentはその訳語として用いられましたが、語源は古英語lenctenないしlenchthenは「日が伸びる、春」の意味であって、もとはキリスト教とは無関係の言葉でした。四十日は、モーセ、エリヤ、キリストの四十日間の祈りと断食(マルコの福音書1章:13節参照)にちなんでいます。 イエス・キリストが十字架での死から甦(よみがえ)られた復活祭に備える悔い改め期間であると同時に、受洗志願者と堅信者の準備の期間であり、また信仰者にとってはその信仰を新たにし、神との正しい関係に戻る期間です。「四旬節を失う者は、その一年を失う」と言われるほどに、大切に見なされてきました。 復活祭(イースター)の一週間前は特に聖週間と呼ばれます。

灰の水曜日(はいのすいようび/Ash Wednesday) 典礼色:黒/紫

四旬節(受難節・レント)の始まる最初の日は水曜日で、特に「灰の水曜日」と呼ばれます。なぜ「灰の水曜日」と呼ぶのでしょうか? それは、この日にキリスト教徒が教会で額に灰で作った墨で十字架の印をつけた儀式からきています。 初期キリスト教時代、信徒は粗末な衣服をまとい、塵(ちり)と灰の上に座り、それを頭にふりかけながら、断食を行ったそうです。 その後、灰の上に座る代りに、額に灰で作った墨をつける習慣に変わりました。 灰は前年の「棕櫚(しゅろ)の主日」に使った棕櫚の葉を燃やして作ります。 牧師は親指に墨を付け、礼拝者の額に「人よ、あなたは塵から造られたから、塵に帰ることを忘れずにいなさい。」と言いながら十字の印を付けて行きます。 この言葉は創世記3章19節の「あなたは、顔に汗を流して糧を得、ついにはその大地に帰る。あなたはそこから取られたのだから。あなたは土のちりだから、土のちりに帰るのだ。」から取られており、私たちが日頃忘れがちである人間のはかない本質を再認識させます。 灰は動植物の燃えた後にわずかに残される、色も形もない残り滓(かす)であり、ユダヤ教の伝統では土から造られた人間のはかなさを思い起こさせる印とされています。 灰の塗布は、自らの罪を謙虚に認め、神に対して回心し、福音を信じて善き生活をしていきなさいという促しを意味しています。


聖週間(せいしゅうかん)/Holy Week

聖週間(せいしゅうかん/Holy Week)・受難週 

復活祭の一週間前の「棕櫚(しゅろ)の日曜日」よりイエス・キリストが十字架にかかられた「聖週間」が始まります。 聖週間の一週間の間には、イエス・キリストがへりくだることを教えるために弟子たちの足を洗い、最後の晩餐を行われた「洗足の木曜日」(Maundy Thursday)、イエス・キリストが十字架にかかられ、私たちの罪のために身代わりになって死なれた「聖金曜日」(Good Friday)/受難日、「聖土曜日/復活祭前夜」(Holy Saturday/The Great Vigil od Easter)と続きます。

棕櫚の日曜日(しゅろのにちようび/Palm Sunday)・ 典礼色:紫/緋

四旬節最後の日曜日は「棕櫚の日曜日」と呼ばれます。 イエス・キリストは過越しの祭りに参加されるため、預言に従い、ろばの子に乗ってエルサレムに入城されました。その時、人々は自分の上着や木の枝を切って地面に敷き、「ダビデの子にホサナ。祝福あれ。主の御名によって来られる方に。ホサナ。いと高き所に。」と叫んで、イエス様を待望の王様としてお迎えしました。当教会の棕櫚の日曜日礼拝は、十字架へと進まれるイエス様のエルサレム入城を記念して、シュロの葉を打ち振って「ダビデの子にホサナ!主の御名によって来られる方に祝福あれ!」と叫んで礼拝堂に入場し、始まります。 この日よりイエス・キリストが十字架に向われる聖週間が始まります。

聖金曜日(せいきんようび/Good Friday) 典礼色:黒

イエス・キリストは木曜日の夜に弟子たちと最後の晩餐を持たれた後、ユダヤ人の指導者たちから差し向けられた兵士らに逮捕され、夜中にユダヤ人の指導者らによって宗教裁判に掛けられました。その後、ローマ総督ポンティオ・ピラトのもと、無罪にも関わらずユダヤ人らの騒ぎを収める為に下された死刑判決によって、金曜日午前9時に十字架に付けられ、午後3時に息を引き取られました。イエス・キリストは最後の力を振り絞って大声で「父よ。我が霊を御手に委ねます。(ルカ23:46)」と叫び、父なる神の御計画に従われ、その御計画を完成させられました。全人類の罪を背負って身代わりに死ぬという壮大な任務は完了し、全ての人が天の御国(パラダイス)に入る道が整えられました。それにより、誰でもイエス・キリストを己の救い主と信じる人は、天の御国に入ることができるようになったのです。

復活節(ふっかつせつ)/Easter Season

私たちの主の復活(わたしたちのしゅのふっかつ/The Ressurection of Our Lord )・
復活祭(Easterイースター) 典礼色:白/金

復活祭は移動祝日で、3月21日(春分の日)の次の満月の次の日曜日が復活祭になります。
イエス・キリストは無実にもかかわらず、金曜日の日没から始まるユダヤ教の過越の祭りの直前、午前9時から十字架刑に掛けられて午後3時に亡くなられ、その日の日没前にお墓に葬られました。 これは神様のご計画によるもので、私たち全ての人の罪を背負った身代わりの死でした。そして預言の通り、三日目の日曜日の早朝、墓から復活されました。この復活によって、イエス・キリストの弟子達は、キリストがまことの人間であり、同時にまことの神であることを、漸く信じられるようになり、喜びに溢れたのです。復活祭は、キリスト教会が最大の喜びを持ってお祝いする祭りです。

復活節主日(ふっかつせつしゅじつ/Sunday of Easter) 典礼色:白

復活節の主日は、復活祭の次の日曜日である復活節第二主日から、聖霊降臨祭の一週間前である復活節第七主日まであります。

私たちの主の昇天(わたしたちのしゅのしょうてん/The Ascension of Our Lord) 典礼色:白

復活祭から40日目の木曜日は「私たちの主の昇天」日です。イエス・キリストは、十字架上で死んで葬られた3日目に復活し、40日間弟子たちと共に過ごされた後、「聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、わたしの証人となります。」(使徒1:8)と弟子たちに告げ、エルサレム郊外のオリーブ山のベタニヤの近くで、弟子たちが見ている間に天に上げられ、雲に包まれて、見えなくなりました(使徒1:9)。

聖霊降臨祭(せいれいこうりんさい/Pentecost ペンテコステ)・五旬節 典礼色:赤

イエス・キリストが昇天される時に、弟子たちに告げられた通り、昇天から10日後の「五旬節」の日に、天から激しい風が吹いて来るような響きが起こり、炎のような分かれた舌が弟子たち一人一人の上に留まり、聖霊に満たされた弟子たちは他国の言葉で話し出しました(使徒2章)。そしてこの日に使徒ペテロの説教を聞いた3,000人程の人が悔い改め、洗礼を受け、キリスト教会が誕生しました。

降誕の時季 The Time of Christmas

教会の時季 The Time of the Church