3人のマリア
イエス・キリストが十字架にかけられた時、そのそばには
少なくとも4人の女性がいたことが、ヨハネによる福音書に記されています。
そのうちの3人は、マリアでした。
イエスの十字架のそばには、その母と母の姉妹、
クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた。
ヨハネによる福音書 19章25節
マリアその1:イエスの母マリア
マリアその2:マグダラのマリア
マリアその3:クロパの妻マリア
もうひとりの女性は、イエスの母マリアの姉妹ですので
その名前は、「マリア」以外の名前だったと考えられます。
従ってそこには、3人のマリアがいたことになります。
名前は同じマリアでも、それぞれがまったく違う境遇にあった女性たちでした。
1. イエスの母マリア
イエスの母マリアは、まさにそこに十字架にかけられているイエスを
実際に産んだ実の母です。ナザレでの天使ガブリエルからの受胎告知に始まって、
受胎後のエリサベトとの喜びの交わり、
妊娠中の、ナザレからベツレヘムへの旅、
ベツレヘムの家畜小屋での出産、出産時の羊飼いたちの来訪、
東方の博士たちの来訪、エジプトへの逃避行、
エジプトからナザレへの帰還、
ナザレでのイエスの幼少期も、そして青年期もすべて知っていたわけです。
大工の父のもとで過ごしていたことも、何もかも知っていた人物でした。
2. マグダラのマリア
マグダラのマリアは、どうでしょうか?
すぐその後、イエスは神の国を宣べ伝え、
その福音を告げ知らせながら、町や村を巡って旅を続けられた。
十二人も一緒だった。
悪霊を追い出して病気をいやしていただいた何人かの婦人たち、
すなわち、
七つの悪霊を追い出していただいた
マグダラの女と呼ばれるマリア、
ヘロデの家令クザの妻ヨハナ、それにスサンナ、
そのほか多くの婦人たちも一緒であった。
彼女たちは、自分の持ち物を出し合って、一行に奉仕していた。
ルカによる福音書 8章1〜3節
マグダラのマリアは、元々七つの悪霊に憑かれていた女性でした。
その悪霊を、イエス・キリストによって追い出していただいて、
イエスの旅に同行していたのです。
彼女たちは、自分の持ち物を出し合って、一行に奉仕していたと記されていますから
献身的に、イエスとその一行に仕えていた婦人だったことがわかります。
夫婦で一緒にとは書かれていませんから、独身だったと考えられます。
マグダラのマリアは、悪霊を追い出してもらうまでは、
イエスについて全く知らない女性でしたが、
実際に悪霊を追い出していただくという、
イエスによる素晴らしいみわざを、自分の身に実体験していた女性でした。
3. クロパの妻マリア
クロパの妻マリアは、その夫の名前が記されていますから既婚者とわかります。
マタイによる福音書によると、同じ状況で「ヤコブとヨセフの母マリア」と記されて
いますので、同一人物だとすると、少なくともヤコブとヨセフという
2人以上の子を持つ母親だったことがわかります。
ヤコブとヨセフと名前が出ていることからすると、
すでに少年ではなく、成人していたように考えらえます。
その中には、マグダラのマリア、
ヤコブとヨセフの母マリア、
ゼベダイの子らの母がいた。
マタイによる福音書 27章56節
むすび.
このように名前は同じでも、全く違う境遇にあった3人のマリアに
名前以外の、もうひとつの大きな共通点がありました。
それは、イエス・キリストを心から信じて従ったということです。
3人は、十字架で死に行くイエスのもとで、その姿を見届けていたのです。
私たちも、それぞれ全く違う境遇の中からイエスによって
救われてきた者同士ですが、今は大きな共通点を持っています。
それは、イエス・キリストを心から信じて従っているということです。
そして、罪の赦しの確信をもって、永遠の命を目当てにして
この地上の人生を、歩んでいるのです。
【今日の聖書】
イエスの十字架のそばには、その母と母の姉妹、
クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた。
ヨハネによる福音書 19章25節