イエスの最初の一言 その2
1.イエスはサマリアの女性と出会った
イエスの時代、ユダヤ人とサマリア人の関係は険悪でした。
ユダヤ人はサマリア人とは、一切の交わりを持たないようにしていたようです。
エルサレムからガリラヤ地方に行くときも、サマリア地方を通って行かずに
わざわざ遠回りして、サマリアを避けて行き来していたようです。
しかし、イエスはサマリアを通られたのです。イエスにとって、サマリアの人々も
ユダヤ人同様、救われねばならない愛する人々だったのです。
しかし、サマリアを通らねばならなかった。
ヨハネによる福音書 4章4節
そしてそこで、一人の女性と出会うのです。
そこにはヤコブの井戸があった。
イエスは旅に疲れて、そのまま井戸のそばに座っておられた。
正午ごろのことである。
ヨハネによる福音書 4章6節
2.イエスがサマリアの女性に対してかけられた最初の一言
その女性に対して、イエスがかけられた最初の一言は次のようなものでした。
サマリアの女が水をくみに来た。
イエスは、「水を飲ませてください」と言われた。
ヨハネによる福音書 4章7節
「水を飲ませてください」と、お願いしています。
この言葉には、この女性に対する信頼がにじみ出ています。
「水を飲ませてください」という言葉は、彼女を信頼していなければ言えないからです。
3.愛の溢れる最初の一言が女性の心を開いた
ユダヤ人は通常、サマリア人とは交際していませんでしたから、
まず、サマリアの町の中に入ることさえ、していなかったはずです。
それが、町の中の井戸でサマリア人のしかも女性に声をかけるということは
サマリアの女性にとっては、驚くべきことだったのです。
すると、サマリアの女は、
「ユダヤ人のあなたがサマリアの女のわたしに、
どうして水を飲ませてほしいと頼むのですか」と言った。
ユダヤ人はサマリア人とは交際しないからである。
ヨハネによる福音書 4章9節
イエスが、この女性に対してかけられた言葉は、
たとえ他のユダヤ人が、サマリア人と一切交際をしていなかったとしても、
私はサマリアの人々を、受け入れているんだよという
愛に基づく言葉だった、と言えるでしょう。
このひと言葉で、女性の心は開かれていくのです。
そしてイエスからの大事なメッセージを、受け取る準備が整えられて行くのです。
イエスは答えて言われた。
「もしあなたが、神の賜物を知っており、また、
『水を飲ませてください』と言ったのがだれであるか知っていたならば、
あなたの方からその人に頼み、
その人はあなたに生きた水を与えたことであろう。」
ヨハネによる福音書 4章10節
むすび.
イエスはこのサマリアの女性に、「水を飲ませてください」と一言言われました。
ほんのたわいもない、一言ですが、
この言葉から、サマリアの女性との会話が進むのです。
人の心を変えるのは、愛の溢れる言葉です。
当時のユダヤ人とサマリア人の関係からすれば、普通では考えられないような
愛に基づく一言を、イエスは語られたのです。
そういう言葉を語る者と、ならせていただきたいと思います。
【今日の聖書】
「さあ、見に来てください。
わたしが行ったことをすべて、言い当てた人がいます。
もしかしたら、この方がメシアかもしれません。」
ヨハネによる福音書 4章29節