ペトロがヘロデ王に捕らえられ、殺されそうになった時、
　教会では彼のために熱心な祈りがささげられていました。

　ヘロデはペトロを捕らえて牢に入れ、
　四人一組の兵士四組に引き渡して監視させた。
　過越祭の後で民衆の前に引き出すつもりであった。
　こうして、ペトロは牢に入れられていた。
　教会では彼のために熱心な祈りが神にささげられていた。
　使徒言行録　１２章４〜５節

　その結果、ペトロは奇跡的に天使の手によって助け出され
　祈っていた人々は、驚きと感謝に包まれます。

　しかし、ペトロは戸をたたき続けた。
　彼らが開けてみると、そこにペトロがいたので非常に驚いた。
　ペトロは手で制して彼らを静かにさせ、
　主が牢から連れ出してくださった次第を説明し、
　「このことをヤコブと兄弟たちに伝えなさい」と言った。
　そして、そこを出てほかの所へ行った。
　使徒言行録　１２章１６〜１７節


　祈りによって、ペトロは救出されペトロの運命が変わりましたが、
　それ以上に、祈っていた人々の内側に変化が生じています。
　教会で祈っていた人々の、何が変化しているでしょうか？

　それは、信仰です。
　祈っていた人々は、ペトロのために祈ってはいても、
　「まさか助かるはずがない」という思いでいたのです。

　もし「絶対祈りが答えられてペトロは助け出される」と信じて祈っていたら
　門の外にペトロがいても、非常に驚くことはなかったでしょう。
　「神に祈れば、これ位のことは起こって当たり前！」と思ったことでしょう。

　「まさか助かるはずがない」という、弱い教会全体の信仰が、
　「ペトロのための、熱心な祈りの答え」を得た体験を通して、
　「神に祈れば、頑強な牢獄だろうが脱出できるんだ」という信仰に変わったのです。


　祈りは何を変えるのでしょうか？
　自分自身を変えていくのです。
　とりなしの祈りは、相手を助けると同時に、祈る人の相手に対する愛を深めます。

　またこのペトロの時のように、信仰を成長させるのです。
　悔い改めの祈りは、私たちを罪から離れさせます。私たちは変えられるのです。
　感謝の祈りは、私たちを感謝する者へと変えていきます。

　賛美の祈りは、私たちを賛美する者へと変えていきます。
　賛美するときに、賛美されるべきお方の素晴らしさが
　私たちの心の中に、しっかりと刻み付けられていくのです。

　御言葉を告白する祈りは、私たちの心にみ言葉をしっかりと植え付け
　私たちの心を、その御言葉にしっかり立つように変えるのです。
　私たちの心に、み言葉という土台が築き上げられていくのです。


　神が祈りなさいと言われるのは、まさに私たちが変えられるためなのです。
　祈りによって、より深く神を知り、神の望んでおられる姿へと
　変えられてゆく、このことこそ神の私たちに対する願いなのです。

　ですから、祈らなければ、私たちの霊的成長はありません。
　信仰も愛も感謝も喜びも、何もかも衰退してゆくばかりです。
　祈りは、祈っている本人を変えるのです。成長させるのです。

　ペトロのために、教会で熱心に祈っていた人々の内側は、
　祈りの答えを体験することによって、大きく変わったのです。
　信仰が大いに成長したのです。

　ちょうどその時期に、飢饉の救援にエルサレムに来ていたパウロとバルナバは、
　熱心に祈っていた祈りの家の息子であるマルコを連れて、アンティオキアに帰ったのです。
　彼らが、この祈りの答えを知らなかったはずがないのです。

　信仰が強められたパウロとバルナバは、この後異邦人伝道へと
　遣わされてゆくのです。エルサレムの飢饉もペトロの投獄も、
　神の備えられた、異邦人伝道のための素晴らしい備えだったのです。

　ペトロのように、フィリピの牢獄につながれたパウロが
　牢獄の中で賛美できたのも、この時の体験によって獲得した
　「祈れば必ず助けられる」という信仰があったからこそではないでしょうか？

　今日も祈って神と深く交わって、自分自身を変えて頂きましょう。
　いよいよ罪から離れ、信仰が強くされ、愛が深まっていきますように！
　そしてとりなしの祈りを、どんどんささげて隣人愛が深められていきますように！

　【今日の聖書】
　わたしたちの主、救い主イエス・キリストの恵みと知識において、
　成長しなさい。
　このイエス・キリストに、今も、また永遠に
　栄光がありますように、アーメン。
　ペトロの手紙二　３章１８節