迫害下の迅速な情報交換
1.ダマスコのアナニアは大勢から情報を入手していた
ダマスコにいるイエスを信じる人々を、サウロが連行しようとやって来た時
アナニアは、すでにサウロのエルサレムでの悪事を大勢の人から聞いており
更にサウロが、祭司長たちから権限を受けたことも知っていました。
「主よ、わたしは、その人がエルサレムで、
あなたの聖なる者たちに対してどんな悪事を働いたか、
大勢の人から聞きました。
ここでも、御名を呼び求める人をすべて捕らえるため、
祭司長たちから権限を受けています。」
ひとりふたりから、サウロの悪事を聞いたのではなく
大勢の人から聞いている所から、アナニアの人脈の広さを伺い知ることができます。
アナニアは、大勢の人との交流があって情報を多くのチャネルから入手していたのです。
アナニアには、このように多くの情報入手チャネルがあって
アナニアは、ダマスコに居ながらにして
エルサレムの状況も、しっかりと把握していたのです。
2.ダマスコのアナニアはサウロの内部事情も知っていた
さらにもっとすごいのは、サウロが祭司長たちから権限を受けていたことも
サウロがダマスコに来る前に、とっくに知っていたということです。
サウロが信徒を捕らえるために、ダマスコに来ようとしていること
そのために、祭司長たちから権限を受けていることをいち早く知っていたのです。
アナニアに入ってくる情報の早さに、驚かされます。
サウロが祭司長たちから権限を受け取ったことは、内部事情ではなかったのか?
サウロや祭司長など、関係者以外知らない情報ではなかったのか?
教会壊滅に燃えていた、血気盛んなサウロだったので
権限を移譲されたら、即行動に移しダマスコ目指して急いでいたのではないか?
にもかかわらず、ダマスコに急ぐサウロよりも早く
しかも内部事情だったはずの権限移譲という情報を、いち早く入手していた
ということは、忍者みたいな密使のような人物がいたのか?
その辺の事情は、聖書には何も記されていません。
3.迫害当初の信徒間の情報交換は素早く頻繁になされていた
サウロの迫害で、エルサレム教会の人々は散らされて行きましたが
その後、散らされて行った信徒間での情報交換は「途絶えてしまった!」
というのではなかったことが、わかります。
そうではなく、きちんとした情報交換がなされていたことがわかります。
フィリポのサマリア伝道の際も、その情報がいち早くエルサレム教会に届けられます。
エルサレムにいた使徒たちは、サマリアの人々が
神の言葉を受け入れたと聞き、ペトロとヨハネをそこへ行かせた。
使徒言行録 8章14節
そして、ペトロとヨハネをサマリアに送るのです。
誰かが、サマリアから迫害下のエルサレムに行って
サマリアの多くの人々が洗礼を受けたということを、伝えているのです。
むすび.迫害下でも迅速で正確な情報交換が信徒間でなされていた
大迫害が起こって信徒たちが散らされて行って、ばらばらになってしまった
というのではなく、きちんとした情報交換が迫害下でもなされていたことがわかります。
それが、サマリアにおいては信徒が聖霊のバプテスマを受けることにつながり
ダマスコにおいては、迫りくるサウロに備える結果に繋がっていくのです。
情報交換というのは、いつの時代であってもどんな状況にあっても
とても重要な事だったということがわかります。
【今日の聖書】
しかし、アナニアは答えた。
「主よ、わたしは、その人がエルサレムで、
あなたの聖なる者たちに対してどんな悪事を働いたか、
大勢の人から聞きました。
ここでも、御名を呼び求める人をすべて捕らえるため、
祭司長たちから権限を受けています。」
使徒言行録 9章13〜14節