過酷なクリスマス1「妊婦の旅」
イエス・キリストの誕生において、そこに多くの過酷な現実が見受けられます。
1.強いられたナザレからベツレヘムへの旅
まず誕生直前のことになりますが、身重の妊婦を連れてナザレからベツレヘムへと
移動することを、余儀なくされています。
それはローマ皇帝からの、勅令によるものでした。
下手をすれば流産する可能性も大きかった、過酷な旅行を強いられているのです。
もし断れば、ローマ皇帝の勅令を無視したということで処罰されたことでしょう。
絶対服従の条件下で、行く意志のなかったベツレヘムに胎児の死の危険を抱えながら行くのです。
2.ベツレヘムへの旅には当然多くの費用がかかっていた
しかも、旅費が補助されるわけでもはなかったのです。
すべての費用を、自分で支払う必要がありました。
宿泊費と食費が、旅行の日数分かかることになるのです。
その期間中、仕事はできませんので収入も途絶えてしまいます。
収入が途絶えるのに、多くの支出が発生してしまうわけです。
経済的にも、過酷な状況を強いられていたのです。
3.出産時のヨセフたちの献げものにみる経済的困窮
こどもが誕生した後、律法で定められていた献げものは
通常であれば、一歳の雄羊一匹と家鳩または山鳩一羽でした。
男児もしくは女児を出産した産婦の清めの期間が完了したならば、
産婦は一歳の雄羊一匹を焼き尽くす献げ物とし、
家鳩または山鳩一羽を贖罪の献げ物として臨在の幕屋の入り口に携えて行き、
祭司に渡す。
レビ記 12章6節
小羊を用意するには、それなりのお金がかかります。
ですから小羊を買うだけのお金がない人のために、別の規定がありました。
なお産婦が貧しくて小羊に手が届かない場合は、
二羽の山鳩または二羽の家鳩を携えて行き、
一羽を焼き尽くす献げ物とし、もう一羽を贖罪の献げ物とする。
祭司が産婦のために贖いの儀式を行うと、彼女は清められる。
レビ記 12章8節
ヨセフとマリアは、二羽の山鳩または二羽の家鳩をささげているので
小羊を買うことができなかった、ということがわかります。
彼らはイエスの出産時に、とても貧しかったのです。
また、主の律法に言われているとおりに、山鳩一つがいか、
家鳩の雛二羽をいけにえとして献げるためであった。
ルカによる福音書 2章24節
むすび.過酷な妊婦同伴の旅は経済的にも厳しかった
イエス降誕時の過酷さのひとつに、ナザレからベツレヘムへの旅が挙げられます。
旅自体の過酷さと共に、経済的な厳しさもあったことが伺えます。
男子出産後40日は、妊婦は動けません。
「イスラエル人に告げて言え。
女が身重になり、男の子を産んだときは、その女は七日の間汚れる。
その女は月のさわりの不浄の期間のように、汚れる。
――八日目には、その子の包皮の肉に割礼をしなければならない。
――その女はさらに三十三日間、血のきよめのために、こもらなければならない。
そのきよめの期間が満ちるまでは、聖なるものにいっさい触れてはならない。
また聖所にはいってもならない。
レビ記 12章2〜4節(新改訳)
40日が終われば、動き出すことができますので神殿で献げものができるようになります。
この時の献げものが、通常の小羊ではなく貧しい場合用の鳩だったのです。
もし東方の博士たちが降誕直後に来ていれば、黄金がささげられていたので豊かだったでしょう。
しかしこの時はまだ、博士たちは来ていませんでした。
ですから、黄金も没薬も乳香も受け取っていなかったのです。
彼らはイエスの出産時には、貧しさの中にいたのです。
【今日の聖書】
また、主の律法に言われているとおりに、山鳩一つがいか、
家鳩の雛二羽をいけにえとして献げるためであった。
ルカによる福音書 2章24節