伯父ラバンにだまされたヤコブ
1.ヤコブはラケルと結婚することを願った
兄エサウの恨みを買ったヤコブは、伯父ラバンの元に身を寄せます。
そしてその娘、ラケルを愛するようになります。
ラケルと結婚するために、「7年間働きます」とラバンに申し出るのです。
ヤコブはラケルを愛していたので、
「下の娘のラケルをくださるなら、
わたしは七年間あなたの所で働きます」と言った。
創世記 29章18節
ラバンはその申し出を受け入れ、ヤコブを自分の家で働かせることになります。
ラバンは答えた。
「あの娘をほかの人に嫁がせるより、お前に嫁がせる方が良い。
わたしの所にいなさい。」
創世記 29章19節
2.ラバンはヤコブに娘レアを嫁がせた
7年後、いよいよヤコブはラケルと結婚することになります。
ヤコブはラケルのために七年間働いたが、彼女を愛していたので、それはほんの数日のように思われた。
ヤコブはラバンに言った。
「約束の年月が満ちましたから、わたしのいいなずけと一緒にならせてください。」
創世記 29章20〜21節
ヤコブはあらためて、ラバンにラケルと結婚せて欲しいと願います。
それに対してラバンは了解し、祝宴を開きました。
しかしラバンは、ラケルではなくその姉レアをヤコブの元に連れて行くのです。
ラバンは土地の人たちを皆集め祝宴を開き、
夜になると、娘のレアをヤコブのもとに連れて行ったので、
ヤコブは彼女のところに入った。
ラバンはまた、女奴隷ジルパを娘レアに召し使いとして付けてやった。
創世記 29章22〜24節
3.ヤコブは翌朝になってそれがレアだと気づいた
その夜のうちは、ヤコブはレアだと気づきませんでした。
てっきりラケルだとばかり思っていたのですが、翌朝になってレアだと気づきます。
ところが、朝になってみると、それはレアであった。
ヤコブがラバンに、「どうしてこんなことをなさったのですか。
わたしがあなたのもとで働いたのは、ラケルのためではありませんか。
なぜ、わたしをだましたのですか」と言うと、創世記 29章25節
ヤコブは早速、伯父ラバンに訴えます。
「わたしがあなたのもとで働いたのは、ラケルのためではありませんか。
なぜ、わたしをだましたのですか」
4.ヤコブは見事に伯父ラバンにだまされてしまった
ラケルと結婚するために、伯父ラバンの元で7年間働いたにもかかわらず
ラバンはヤコブに、レアを嫁がせてしまいました。
ヤコブは、見事に伯父ラバンにだまされてしまったのです。
結婚という人生の重要な決断と選択の状況下において、約束を反故にされ
自分の選んだ人ではない、別の女性と結婚させられてしまったのです。
そしてそれは、取り消すことができなかったのです。
ラバンにだまされて、自分の妻にせざるを得なくなったレアと、
一生涯、夫婦として生きていかなければならなくなってしまったのです。
ヤコブはだまされた結果、その後の人生のすべてを狂わされてしまうのです。
むすび.だますことは大きな罪であって決して軽く考えてはならない
だまされることによって、その後の人生すべてに影響が出ることがあります。
ヤコブは、ラバンにだまされさえしなければ、
ラケルとふたりで、平和な家庭を築き上げていったことでしょう。
しかしだまされた結果、レアとラケルの姉妹をふたりとも妻にすることになってしまい
そこから家庭内で、ふたりの妻同士の壮絶なバトルが始まっていくことになるのです。
平和な家庭ではなく、競い合い、ねたみ合い、争い合う家庭となってしまうのです。
ラケルは、ヤコブとの間に子供ができないことが分かると、姉をねたむようになり、
ヤコブに向かって、「わたしにもぜひ子供を与えてください。
与えてくださらなければ、わたしは死にます」と言った。
創世記 30章1節
人間の罪のもたらす影響の大きさの一端を、ここに見ることができます。
たった一度の罪であっても、相手の人生を一生涯変えてしまうほどの影響を及ぼしてしまうのです。
「だますこと」だけでなく、すべての罪を軽く考えてはならないのです。
【今日の聖書】
夜になると、娘のレアをヤコブのもとに連れて行ったので、ヤコブは彼女のところに入った。
創世記 29章23節