今日のできごと


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2020/7/8(水)

 

人知を超えた神の計画

1.初代教会における福音宣教拡大はどのようなものだったのか?

 初代教会において、福音がどのように伝わって行ったかをみていくのは
 とても興味深いものがあります。
 エルサレムという、世界のごくごく小さな地域で始まった福音宣教が

 どうしてこんなに、世界中に広がることになったのか?
 その原点を探ることは、今後の福音宣教の拡大にも
 ひとつの大きな指針を与えることになるかもしれません。

 福音はどのように広がったのでしょうか?

2.殉教と教会への迫害を通して広がった

 2.1 まずエルサレム

 まずエルサレムで福音が広がり、教会が大きく成長していきます。

 こうして、神の言葉はますます広まり、
 弟子の数はエルサレムで非常に増えていき、祭司も大勢この信仰に入った。
 使徒言行録 6章7節

 まだこの時はエルサレムが中心で、「ユダヤとサマリアの全土」という
 イエスの言葉は実現していませんでした。
 ではどうやって、ユダヤとサマリアの全土に広がって行ったのでしょうか?

 2.2 きっかけは、ステファノ

 きっかけは、ステファノです。
 ステファノが、聖霊に満たされて目覚ましい活躍をします。

 さて、ステファノは恵みと力に満ち、
 すばらしい不思議な業としるしを民衆の間で行っていた。
 ところが、キレネとアレクサンドリアの出身者で、
 いわゆる「解放された奴隷の会堂」に属する人々、
 またキリキア州とアジア州出身の人々などのある者たちが立ち上がり、
 ステファノと議論した。
 しかし、彼が知恵と“霊”とによって語るので、歯が立たなかった。
 使徒言行録 6章8〜10節

 ステファノは、その結果「最高法院」に連行されます。

 また、民衆、長老たち、律法学者たちを扇動して、
 ステファノを襲って捕らえ、最高法院に引いて行った。
 使徒言行録 6章12節

 そして偽証人の偽証によって訴えられ、石で打たれて死んでしまうのです。

 人々は大声で叫びながら耳を手でふさぎ、
 ステファノ目がけて一斉に襲いかかり、
 都の外に引きずり出して石を投げ始めた。
 証人たちは、自分の着ている物をサウロという若者の足もとに置いた。
 人々が石を投げつけている間、ステファノは主に呼びかけて、
 「主イエスよ、わたしの霊をお受けください」と言った。
  それから、ひざまずいて、
 「主よ、この罪を彼らに負わせないでください」と大声で叫んだ。
 ステファノはこう言って、眠りについた。
 使徒言行録 7章57〜60節

 2.3 教会大迫害により散って行った信徒が宣教した

 その結果、迫害はステファノだけにとどまることなく、
 エルサレム教会全体に、及んでいくのです。
 教会に対する、激しい迫害が同じ日に起こります。

 サウロは、ステファノの殺害に賛成していた。
 その日、エルサレムの教会に対して大迫害が起こり、
 使徒たちのほかは皆、ユダヤとサマリアの地方に散って行った。
 しかし、信仰深い人々がステファノを葬り、彼のことを思って大変悲しんだ。
 使徒言行録 8章1〜2節

 ユダヤとサマリアの地方に散って行った信徒たちが、そこで伝道をしてゆくのです。

 さて、散って行った人々は、福音を告げ知らせながら巡り歩いた。
 使徒言行録 8章4節

 その結果、はからずもユダヤとサマリヤの全土への宣教が
 実現していくことに、なっていくのです。
 まさに「ユダヤとサマリヤの全土」という、イエスの言葉通りになっていくのです。

 ステファノの殉教と、エルサレム教会への大迫害を契機にして
 信徒が散らされていくことによって、福音は広がっていきました。
 神の計画は、そこにあったのです。

3.リーダーであったペトロには、そんな計画はなかった

 3.1 初代教会のリーダーペトロ

 初代教会では、ペトロが強力なリーダーシップをとっていました。
 イスカリオテのユダが抜けた後の使徒職を、誰に継がせるか
 その後任人事を決めようと発案したのは、ペトロでした。

 ペンテコステの後は、文字通り教会のリーダーとして、
 説教においても、伝道においても、どんな反対者を前にしても臆することなく
 リーダーシップを発揮して、宣教を進めています。

 3.2 ペトロの宣教ビジョン

 ペンテコステ直後のペトロのビジョンは、どういうものだったのでしょうか?
 ペトロはどういったビジョンをもって、教会をリードしていっていたのでしょうか?
 ペトロはイエスの昇天に立ち会っていましたから、イエスの最後の言葉を聞いています。

 あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。
 そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、
 また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」
 使徒言行録 1章8節

 当然ペトロの心の名には、その言葉が脈々と息づいていたことでしょう。
 けれども、それでは「どうやって地の果てまで主を証しするのか」という
 具体的な方策については、ペトロの内にはほとんどなかったのではないでしょうか?

 3.3 神の計画「異邦人の救い」を知らずにいたペトロ

 もしあったとしても、ペトロが「異邦人も救われる」ということを悟るのは
 もっとずっと後ですので、コルネリウスの家に行くまで
 異邦人が救われるなどとは、夢にも思っていなかったわけです。

 当時のペトロは「ユダヤ人しか救われない」と考えていたわけですから
 ペトロの宣教ビジョンの対象は、ユダヤ人に限られていたことでしょう。
 もし持っていたとしても、そのビジョンは神の計画とは程遠いものだったと考えられます。

むすび.

 神の計画は、ペトロたちの思いをはるかに超える計画だったのです。
 まさかステファノの殉教に次ぐ教会への大迫害が、ユダヤとサマリア全土への
 宣教拡大につながるとは、誰も思っていなかったことでしょう。

 初代教会において、『@殉教 A大迫害 B信徒離散による宣教拡大』という
 宣教計画を提示する人など、誰もいなかったことでしょう。
 しかし、実際はそうなっていったのです。

 教会にとって大きなダメージに見られたことが、実は宣教拡大につながり
 神の計画が、予定通りに進んでいったのです。
 そしてその計画は、実現するまでは教会の誰も知りえなかったのです。

 【今日の聖書】
 あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。
 そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、
 また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」
 使徒言行録 1章8節


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