アブラハムの旅程その3
3.エジプトからカナン
3.1 エジプトからネゲブ
アブラハムたちは、エジプトに行くには行きますが、
妻のことを「妻」と言わずに、「妹」と言ったことで
エジプト王のファラオが妻として召し入れてしまい、
神が恐ろしい病気を起こされ、真実を知ったファラオによって
エジプトから追い出されてしまいます。
そして再びネゲブ地方に戻ります。
ですから、アブラハムがエジプトに滞在した期間は
非常に短期間だったと思われます。
アブラムは、妻と共に、すべての持ち物を携え、
エジプトを出て再びネゲブ地方へ上った。
ロトも一緒であった。
創世記 13章1節
またしても、数百キロレベルの道のりをネゲブ地方へと歩いて戻ります。
しかも今度は、ファラオから受け取ったすべての持ち物も加わっているのです。
羊の群れ、牛の群れ、ろば、男女の奴隷、雌ろば、らくだなどがいました。
これは、普通にひとりで歩くのとは比較にならない程、時間がかかったことでしょう。
1か月では、帰れなかったのではないでしょうか?
直線距離でも300キロ超えですから、行程が400キロとして、
みんなで移動したら平均時速2〜3キロで、歩いて130〜200時間です。
日に5時間歩いたとして、26〜40日は歩かなければなりません。
休みも含めれば、2か月ほどの旅だったでしょうか?
3.2 ネゲブからベテルとアイの間
そしてネゲブに戻った後も、更に旅は続きます。
ネゲブ地方から更に、ベテルに向かって旅を続け、
ベテルとアイとの間の、以前に天幕を張った所まで来た。
創世記 13章3節
ここでアブラハムは、その財産の多かったことから
ロトと一緒の行動が難しくなり、ロトと別れます。
ロトは、東側の低地に移っていきます。
ロトはヨルダン川流域の低地一帯を選んで、東へ移って行った。
こうして彼らは、左右に別れた。
創世記 13章11節
この時、アブラハムは主から祝福の言葉を聞くのです。
主は、ロトが別れて行った後、アブラムに言われた。
「さあ、目を上げて、あなたがいる場所から東西南北を見渡しなさい。
見えるかぎりの土地をすべて、わたしは永久にあなたとあなたの子孫に与える。
あなたの子孫を大地の砂粒のようにする。
大地の砂粒が数えきれないように、あなたの子孫も数えきれないであろう。
さあ、この土地を縦横に歩き回るがよい。
わたしはそれをあなたに与えるから。」
創世記 13章14〜17節
3.3 ベテルとアイの間からヘブロンにあるマムレの樫の木
その後アブラハムは、ヘブロンに移ります。
アブラムは天幕を移し、
ヘブロンにあるマムレの樫の木のところに来て住み、
そこに主のために祭壇を築いた。
創世記 13章18節
アブラハムには素晴らしい祝福の約束が与えられるのですが、
ロトの住んでいたソドムは、その罪によって滅ぼされることになります。
主はソドムとゴモラの上に天から、
主のもとから硫黄の火を降らせ、
これらの町と低地一帯を、町の全住民、
地の草木もろとも滅ぼした。
創世記 19章24〜25節
ロトはアブラハムの祈りによって、滅びから救い出されました。
こうして、ロトの住んでいた低地の町々は滅ぼされたが、
神はアブラハムを御心に留め、
ロトを破滅のただ中から救い出された。
創世記 19章29節
むすび.どこに移動しても主への信仰を持ち続けたアブラハム
最終的にアブラハムは、ヘブロンではなくネゲブ地方へ移り
カデシュとシュルの間に住むことになります。
ゲラルに、滞在していたと記されています。
アブラハムは、そこからネゲブ地方へ移り、
カデシュとシュルの間に住んだ。
ゲラルに滞在していたとき、
創世記 20章1節
ゲラルでは、その王アビメレクとの間でサラのことでトラブルが生じますが、
解決します。その後、アビメレクと契約を結ぶことになりますが、
その場所は、ベエル・シェバと呼ばれるようになります。
そしてその後、約束の子であるイサクが生まれることになります。
このように、アブラハムは各地を転々と移動していますが、
それによって、信仰が揺らぐようなことはなかったのです。
その土地土地で祭壇を築いたり、主の御名を呼んだり、
主の語りかけを聞いたり、主の約束を聞いたりしているのです。
そして主への信仰を表しているのです。
アブラハムが、まったく失敗しなかったというわけではありませんが、
失敗してもそれに捕らわれず、主への信仰を持ち続け、
最終的に、約束の子イサクが与えられているのです。
私たちの生涯も、一か所にずっととどまり続ける生涯ではないかもしれません。
けれどもアブラハムのように、どこにいても主の御名を呼び
主の語りかけを聞いて、主の約束を固く握って歩むものとなっていきましょう。
【今日の聖書】
それで、信仰によって生きる人々は、
信仰の人アブラハムと共に祝福されています。
ガラテヤの信徒への手紙 3章9節