パウロは、コリントの信徒への手紙１で
　旧約聖書の出エジプトの出来事について、次のように語っています。

　しかし、彼らの大部分は神の御心に適わず、
　荒れ野で滅ぼされてしまいました。
　これらの出来事は、わたしたちを戒める前例として起こったのです。
　彼らが悪をむさぼったように、わたしたちが悪をむさぼることのないために。
　コリントの信徒への手紙一　１０章５〜６節

　せっかく、神によって奴隷状態のエジプトから脱出させて頂き
　奴隷から解放され、自由になったにもかかわらず、
　神の恵みを忘れてしまって、悪に陥ってしまい

　その結果、荒れ野の旅の中で滅ぼされてしまったイスラエルの民について
　それらの記録は、私たちに対する戒めなのだというのです。
　すなわち、当時のイスラエルの民の記録は、私たちに対する反面教師だというのです。


　実際の具体的な警告は、以下の通りです。


　彼らの中のある者がしたように、偶像を礼拝してはいけない。
　「民は座って飲み食いし、立って踊り狂った」と書いてあります。
　彼らの中のある者がしたように、みだらなことをしないようにしよう。
　みだらなことをした者は、一日で二万三千人倒れて死にました。
　コリントの信徒への手紙一　１０章７〜８節

　アロンは民の要求に従って、金の子牛を造ってしまい
　人々はそれを拝んでしまいました。

　彼はそれを受け取ると、のみで型を作り、若い雄牛の鋳像を造った。
　すると彼らは、
　「イスラエルよ、これこそあなたをエジプトの国から導き上ったあなたの神々だ」
　と言った。
　出エジプト記　３２章４節

　さらに立って、たわむれたのです。

　彼らは次の朝早く起き、焼き尽くす献げ物をささげ、和解の献げ物を供えた。
　民は座って飲み食いし、立っては戯れた。
　出エジプト記　３２章６節


　また、彼らの中のある者がしたように、キリストを試みないようにしよう。
　試みた者は、蛇にかまれて滅びました。
　コリントの信徒への手紙一　１０章９節

　神を試みてはならない、と警告されています。
　神は「試みる」のではなく、「信頼する」のです。
　試みることは、相手を信頼する「愛」の反対です。

　相手を信頼しない「不信感」から来ます。

　神とモーセに逆らって言った。
　「なぜ、我々をエジプトから導き上ったのですか。
　　荒れ野で死なせるためですか。
　　パンも水もなく、こんな粗末な食物では、気力もうせてしまいます。」
　民数記　２１章５節


　彼らの中には不平を言う者がいたが、
　あなたがたはそのように不平を言ってはいけない。
　不平を言った者は、滅ぼす者に滅ぼされました。
　コリントの信徒への手紙一　１０章１０節

　不平不満は、滅びに至ります。明確な罪なのです。

　民は主の耳に達するほど、激しく不満を言った。
　主はそれを聞いて憤られ、主の火が彼らに対して燃え上がり、
　宿営を端から焼き尽くそうとした。
　民数記　１１章１節

　「不平不満を言ったため、戒められた」というのではなく、火が燃え上がっています。
　厳しく裁かれています。不平不満が、神の前では、恐ろしい罪であることがわかります。


　荒野の旅は苦難の連続でしたが、それはまさにキリストを信じる者の
　信仰生活を表しています。信仰生活は、苦難の連続です。
　しかしそれを乗り越えさせてくださる神を体験し、喜びと感謝の連続となります。

　あなたがたを襲った試練で、
　人間として耐えられないようなものはなかったはずです。
　神は真実な方です。
　あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、
　試練と共に、それに耐えられるよう、
　逃れる道をも備えていてくださいます。
　コリントの信徒への手紙一　１０章１３節

　「あなたがたを襲った試練で」とあります。
　「試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。」
　とあります。「試練がない」とは書かれていません。試練は必ずあります。

　そしてその試練は、必ず耐えられる試練なのです。
　そして、試練を通して私たちは変えられていくのです。
　罪から離れ、愛が深まり、成長させられていくのです。


　これらのことは前例として、彼らに起こったのです。
　それが書き伝えられているのは、
　時の終わりに直面しているわたしたちに警告するためなのです。

　【今日の聖書】
　これらのことは前例として彼らに起こったのです。
　それが書き伝えられているのは、
　時の終わりに直面しているわたしたちに警告するためなのです。
　コリントの信徒への手紙一　１０章１１節