今日のできごと


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2018/9/27(木)



高ぶってしまったレハブアム王の失敗

 レハブアム王の失敗の原因は、一言で言えば彼の高ぶりにありました。

1.神を知らぬアンモン人を母とするレハブアムが王となった

 1.1 レハブアムがソロモンに次いで王となった

 ソロモンの死後、王になったのは息子のレハブアムでした。
 レハブアムは41歳で王位に付き、17年間王としてエルサレムで治めました。

 ソロモンは先祖と共に眠りにつき、父ダビデの町に葬られ、
 その子レハブアムがソロモンに代わって王となった。
 列王紀上 11章43節

 1.2 レハブアムの母はアンモン人だった

 彼の母は名をナアマと言い、アンモン人でした。
 ソロモン王は外国の女性を次々に妻にしていきましたが、その中のひとりだったのです。
 アンモン人であることは、列王記上だけで2度も繰り返し記されています。

 ユダではソロモンの子レハブアムが王位についた。
 レハブアムは四十一歳で王となり、十七年間エルサレムで王位にあった。
 エルサレムは、
 主が御名を置くためにイスラエルのすべての部族の中から選ばれた都であった。
 レハブアムの母は名をナアマと言い、アンモン人であった。
 列王紀上 14章21節

 レハブアムは先祖と共に眠りにつき、
 先祖と共にダビデの町に葬られた。
 その母は名をナアマと言い、アンモン人であった。
 その子アビヤムがレハブアムに代わって王となった。
 列王紀上 14章31節

 1.3 アンモン人はミルコムやモレクを神として崇拝していた

 アンモン人は、憎むべき神ミルコムやモレクを神として崇拝していました。
 レハブアムの母も、ミルコムやモレクを崇拝していたことは想像に難くありません。
 晩年のソロモン王は、ミルコムやモレクを崇拝するようになってしまっています。

 レハブアムは悲しいかな、ミルコムやモレクを神として崇拝している母によって
 幼少期から育てられてしまったようです。「十戒」に基づく教育ではなく
 自己中心的な、異教に基づく教育を受けてしまったと考えられます。

 王となったレハブアムは、少なくとも3年は主に従って律法を守っていました。

 彼らは三年間ユダの国を強くし、ソロモンの子レハブアムを支援した。
 彼らが三年の間ダビデとソロモンの道を歩んだからである。
 歴代志下 11章17節

 しかし、国が固まり自らも力をつけると、レハブアム王は
 すべてのイスラエル人と共に、主の律法を捨ててしまいます。

 レハブアムは国が固まり、自らも力をつけると、
 すべてのイスラエル人と共に主の律法を捨てた。
 歴代志下 12章1節

 その背景には、やはり異教の神を拝んでいた
 アンモン人の母ナアマの影響が、あったのではないでしょうか?

2.レハブアムは、高ぶった答えをヤロブアムにしてしまった

 2.1 レハブアムはヤロブアム王から労働減免の要求を受けた

 レハブアムが王となった時、彼はヤロブアムから、
 「あなたの父上がわたしたちに課した苛酷な労働、重い軛を軽くしてください」
 と言われます。

 ヤロブアムを呼びに使いが送られて来たので、
 彼もイスラエルの全会衆と共に来て、レハブアムにこう言った。
 「あなたの父上はわたしたちに苛酷な軛を負わせました。
  今、あなたの父上がわたしたちに課した苛酷な労働、重い軛を軽くしてください。
  そうすれば、わたしたちはあなたにお仕えいたします。」
 列王紀上 12章3〜4節

 2.2 レハブアムは長老たちから優しい言葉をかけるように勧められた

 まずレハブアムは、長老たちに相談します。

 レハブアム王は、
 存命中の父ソロモンに仕えていた長老たちに相談した。
 「この民にどう答えたらよいと思うか。」
 列王紀上 12章6節

 長老たちは、レハブアム王に
 「僕となって仕えてその求めに応じ優しい言葉をかけるように」
 と勧めます。

 彼らは答えた。
 「もしあなたが今日この民の僕となり、
  彼らに仕えてその求めに応じ、優しい言葉をかけるなら、
  彼らはいつまでもあなたに仕えるはずです。」
 列王紀上 12章7節

 2.3 レハブアムは長老たちの勧めを捨てて若者の意見を採用した

 しかしレハブアム王は、その勧めを聞き入れずに
 若者たちに相談することにしました。

 しかし、彼はこの長老たちの勧めを捨て、
 自分と共に育ち、自分に仕えている若者たちに相談した。
 「我々はこの民に何と答えたらよいと思うか。
 彼らは父が課した軛を軽くしろと言ってきた。」
 列王紀上 12章8〜9節

 すると若者たちは、レハブアム王に次のように答えるように進言します。
 「父がお前たちに重い軛を負わせたのだから、わたしは更にそれを重くする。
  父がお前たちを鞭で懲らしめたのだから、わたしはさそりで懲らしめる。』」

 彼と共に育った若者たちは答えた。
 「あなたの父上が負わせた重い軛を軽くせよと言ってきたこの民に、
  こう告げなさい。『わたしの小指は父の腰より太い。
  父がお前たちに重い軛を負わせたのだから、
  わたしは更にそれを重くする。
  父がお前たちを鞭で懲らしめたのだから、
  わたしはさそりで懲らしめる。』」
 列王紀上 12章10〜11節

 2.4 レハブアムはヤロブアムに対して傲慢に返答した

 ヤロブアムは、レハブアム王の所に答えを求めてやってきます。

 三日目にまた来るようにとの王の言葉に従って、
 三日目にヤロブアムとすべての民はレハブアムのところに来た。
 列王紀上 12章12節

 レハブアム王は、若者たちに言われたようにヤロブアムに答えます。

 王は彼らに厳しい回答を与えた。
 王は長老たちの勧めを捨て、若者たちの勧めに従って言った。
 「父がお前たちに重い軛を負わせたのだから、わたしは更にそれを重くする。
  父がお前たちを鞭で懲らしめたのだから、わたしはさそりで懲らしめる。」
 列王紀上 12章13〜14節

3.国は分断されてしまった

 3.1 イスラエルの大半はレハブアム王から離れた

 イスラエルのすべての人々は、王が耳を貸さないのを見て、
 王に言葉を返した。
 「ダビデの家に我々の受け継ぐ分が少しでもあろうか。
  エッサイの子と共にする嗣業はない。イスラエルよ、自分の天幕に帰れ。
  ダビデよ、今後自分の家のことは自分で見るがよい。」
 こうして、イスラエルの人々は自分の天幕に帰って行った。
 列王紀上 12章16節

 レハブアム王のこの答えを聞いた、イスラエルの大半の人々は、
 レハブアム王に従うことを、やめる決断をします。
 そのためレハブアム王は、全イスラエルを治めることができなくなりました。

 レハブアムは、ただユダの町々に住むイスラエル人に対してのみ王であり続けた。
 列王紀上 12章17節

 3.2 レハブアム王のイスラエル支配奪回は失敗に終わり国は分断された

 レハブアム王がイスラエルの人々に遣わした、労役の監督アドラムは
 彼を石で打ち殺したため、
 レハブアム王は急いで戦車に乗り込み、逃げ帰ったほどです。

 レハブアム王は労役の監督アドラムを遣わしたが、
 イスラエルのすべての人々は彼を石で打ち殺したため、
 レハブアム王は急いで戦車に乗り込み、エルサレムに逃げ帰った。
 列王紀上 12章18節

 結局、この時からヤロブアムと10部族はレハブアム王に背き
 北イスラエル王国を築き、南ユダ王国と袂を分かつことになるのです。
 イスラエル王国は、2つに分断されてしまうのです。

 このようにイスラエルはダビデの家に背き、今日に至っている。
 列王紀上 12章19節

 3.3 ヤロブアムが北イスラエルの10部族の王になった

 イスラエルの10部族側は、レハブアム王ではなく
 ヤロブアムを王として立てて、その支配に服することになったのです。
 ユダ族のほかには、ダビデの家に従う者はなかったのです。

 イスラエルのすべての人々はヤロブアムが帰ったことを聞き、
 人を遣わして彼を共同体に招き、
 王としてイスラエルのすべての人々の上に立てた。
 ユダ族のほかには、ダビデの家に従う者はなかった。
 列王紀上 12章20節

 最終的には、レビ族を除けば、ユダ族とベニヤミン族の2部族が、
 レハブアム王に服して従うだけで、
 残りの10部族は、ヤロブアム王に従うようになったのです。

むすび. 高ぶりを捨てること

 レハブアムがもし、へりくだって長老たちの意見に従っていれば
 国は、分裂することはなかったでしょう。しかしレハブアムは、傲慢になって
 長老たちの意見を捨ててしまい、国は2つに分断されてしまったのです。

 私たちの失敗の原因の一つは、高ぶりです。
 へりくだること、人の僕となって、人に仕えること、
 これこそが、リーダーにとって必要な態度です。

 あなたがたのうちでいちばん偉い人は、仕える者になりなさい。
 だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。
 マタイによる福音書 23章11〜12節

 高ぶる者は、失敗します。
 高ぶりや傲慢は、人を愛する愛の逆であって、
 罪以外の何ものでもないのです。

 愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。
 愛は自慢せず、高ぶらない。
 コリントの信徒への手紙一 13章4節

 イエス・キリストは、最後まで謙遜とへりくだりの模範となられました。
 私たちの模範は、低くなられたイエス・キリストです。イエス・キリストは
 神であられたにもかかわらず人の姿をとり、十字架にかかってくださったのです。

 キリストは、神の身分でありながら、
 神と等しい者であることに固執しようとは思わず、
 かえって自分を無にして、僕の身分になり、
 人間と同じ者になられました。
 人間の姿で現れ、へりくだって、死に至るまで、
 それも十字架の死に至るまで従順でした。
 このため、神はキリストを高く上げ、
 あらゆる名にまさる名をお与えになりました。
 フィリピの信徒への手紙 2章6〜9節

 私たちは、一切高ぶることのないようにと命じられています。
 高ぶるのではなく、柔和で、寛容の心を持ち、愛をもって互いに忍耐し、
 平和のきずなで結ばれて、霊による一致を保つのです。

 一切高ぶることなく、柔和で、寛容の心を持ちなさい。
 愛をもって互いに忍耐し、平和のきずなで結ばれて、
 霊による一致を保つように努めなさい。
 エフェソの信徒への手紙 4章2〜3節

 【今日の聖書】
 だから、神の力強い御手の下で自分を低くしなさい。
 そうすれば、かの時には高めていただけます。
 ペトロの手紙一 5章6節


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