今日のできごと


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2016/5/19(木)


 昨日の祈祷会のテーマは「神のなさった大逆転」でした。

 昨日の祈祷会では、エステル記の6章1〜14節を開きました。
 自分に敬礼しないモルデカイを殺そうと企て、
 その許可を得ようとして、王の前に来たハマンが

 逆に王から、モルデカイに栄誉を与えるように命じられ、
 ハマン自らがモルデカイのことを、王が栄誉を与えられたものとして
 触れ回ったその箇所を見ていきました。


1.ぎりぎりのところでの神の介入

 1.1 モルデカイは殺されるギリギリのところだった

 ハマンは、王妃から自分ひとりが招かれ特別扱いされたことで
 上機嫌でしたが、モルデカイが自分を見ても動きもしないので
 途端に怒り心頭に達します。

 王妃までもが特別待遇している自分を、何だと思っているのか!
 という具合です。それを聞いた妻ゼレシュとハマンの友人たちは、
 翌日の宴会までにモルデカイを殺すよう王に進言するよう提案します。

 次の日に、王に許可をもらって、彼を木にかけてしまおうというのです。
 そして実際に木を立てさせました。
 ハマンのその行動の速さが目に留まります。

 モルデカイにとってみれば、自分がいないところで、
 自分を殺そうとする企みが、速やかに着々と進行していたことになります。
 その木はモルデカイをつるすために、立てられたのです。

 モルデカイは、まさに殺されるギリギリの所だったのです。
 次の日に王の許可さえ出れば、殺されてしまうそんなギリギリの状況です。
 そのとき、神様は何をなされたでしょうか?

 1.2 その夜王は眠れなかった

 ハマンがモルデカイを殺すことを企てていたその夜、
 王はなぜか眠れませんでした。
 特に、誰かが眠らせないようにしたわけではありませんでした。

 エステルが王を起こしていたわけでもなければ、
 モルデカイが王に働きかけていたわけでもありません。
 人が何かをしたわけではなかったのです。

 ここに、神の直接的介入があったことに気付かされます。
 聖書に「神が王を眠れなくした」とは書いてありませんが、
 神にとって、王を眠らせないようにすることはたやすいことです。

 人間にはできませんが、神には何でもできるからです。
 人を眠らせないようにすることも、当然できます。
 神が介入されたのです。人ではなく神が働かれたのです。

 1.3 王は宮廷日誌を読み上げさせモルデカイの功績を知った

 王は眠れないので、宮廷日誌を持って来させ、読み上げさせます。
 そしてそこに書かれている、モルデカイの功績を知るのです。
 そのことについて、王は侍従たちに尋ねます。

 「このために、どのような栄誉と称賛をモルデカイは受けたのか。」と。
 そばに仕える侍従たちは答えました。「何も受けませんでした。」
 ここではじめて王は、気付きました。

 「自分の命を助けてくれたモルデカイに、
  その功績に見合った栄誉を、何も与えていなかった。」
 王が眠れなかったときに、宮廷日誌を読ませようとした、

 そこにも神の働きかけがあったことがわかります。
 神は、王に働きかけ、宮廷日誌を読みたくさせたのです。
 実に不思議な現象です。人に働きかけてその願いを起こさせたのです。

 さらに遡れば、王がモルデカイの功績に対する報酬を「忘れていた」
 ということの背後にも、神の介入があったことが伺えます。
 神は、王に対してモルデカイへの報酬を忘れるように働かれていたのです。

2.モルデカイは何もしていない

 2.1 モルデカイは何も知らなかった

 一方モルデカイはどうだったでしょう。
 次の日には殺されるかもしれなかったモルデカイについては、
 その夜のことに関しては、何の記述もありません。

 ハマンたちがしたことは、時間的にも短時間で、
 場所もハマンの家という限定された場所でしたから
 モルデカイは何も知らなかったことでしょう。

 ハマンが自分を殺すために木を立てたと知っていたら
 それも次の日には殺してしまおうとしていると知っていたら
 とても安眠できる状況ではななかったはずです。

 けれども聖書には、モルデカイはそれを知って寝られなかったとは、
 書いてありませんし、翌日に普通に王の乗る馬に乗っていますから
 何も知らずにいつも通りに夜を過ごしていたと考えられます。

 2.2 モルデカイは人間的な策略をしていない

 この時のモルデカイは、三日三晩の断食直後です。
 人間的な力は、弱まっていたことでしょう。
 たとえそれを知っていたとしても、何もできなかったでしょう。

 ユダヤ人絶滅計画を防ぐことは、エステルに一切ゆだねています。
 モルデカイは、自分自身では何もしていません。
 ハマンのように、策略を立てて行動するということをしていません。

 ただ三日三晩断食していただけです。
 エステルに対して、王に助けを願うように指示しますが、
 自分の力で何かをしようとはしていません。できなかったのです。

 ハマンが企てたユダヤ人絶滅計画を阻止すること、
 それができるのは神のみであることを、知っていたのです。
 ですから、エステルの提案した「断食」をして神に助けを求めていたのです。

 2.3 モルデカイは自分の栄誉を求めていなかった

 モルデカイは、王への陰謀を告発し、事前に防いだにもかかわらず
 その報酬を何も受けていなかったのです。
 モルデカイの方から、報いを与えてくれという要求はしていません。

 王の命を救ったにもかかわらず、忘れ去られていた、
 それをモルデカイは、特に王に訴えるようなこともせず、
 静かにしていたのです。

 養女エステルが王妃ですから、エステルに頼んで
 王に何らかの報いを求めることも、できたはずです。
 しかしそういう類のことを、モルデカイは一切していなかったのです。

 それが良かったのです。
 王が忘れていたからこそ、この時にそれが大いに効果を現したのです。
 王が忘れていても、特にそれを要求しなかったそれが良かったのです。

 ハマンは王に取り入れられようと、動いていました。
 しかしモルデカイは、王に取り入れられようとは考えていませんでした。
 そのようなことは一切してこなかったのです。

3.神は神に従う者に最高に良いことをしてくださる

 3.1 神は死から守り助け出してくださる

 ハマンはモルデカイをあまりにも憎むあまり、
 モルデカイの属する民族すべてを滅ぼしつくそうと企てました。
 悪魔的な破壊の計画を、ハマンは考えたのです。

 そしてまず、モルデカイひとりを殺そうと企てます。
 自分の家に立てた20m以上もある木につるして殺そうという企てです。
 自分の地位を利用して、気に入らない人物を亡き者にしてしまおうとする、

 恐ろしい悪魔的な計画、それを神は見事に覆されました。
 まるで反対になったのです。
 ハマンは、モルデカイを殺すことを進言しに王のもとへやってきます。

 しかしその時には王は、モルデカイに栄誉を与えることを決めていました。
 全く逆だったのです。ハマンが殺そうとしていたモルデカイに対して、
 王は、王の栄誉を与えるようハマンに命じます。

 事態は逆転しました。
 ハマンが王に「モルデカイを殺すように」と進言することは
 もはやできなくなったのです。

 モルデカイは見事に死をまぬかれたのです。

 3.2 神の計画は守り以上のもの

 モルデカイは、死をまぬかれました。
 しかし、それ以上のことが起きています。
 そうです。王から栄誉を受けているのです。しかも最高級のです。

 王の着る服を着せられ、王の乗る馬に乗せられ、都の広場で
 「王が栄誉を与えることを望む者には、このようなことがなされる」と、
 ハマンによって触れ回されているのです。

 自分を殺そうとしていたものが、自分の栄誉を称えている
 そういうことが起こっています。
 しかも王服を着て、王の乗る馬に乗ってです。

 王服を着るのは王です。王の乗る馬は、普通は王しか乗らないでしょう。
 まるで王のような扱いを受けているのです。
 神様のなさることは、そういうことなのです。

 3.3 神は敵の高ぶりを地に落としてくださる

 ハマンは大いに高ぶっていました。
 自分の財産、10人の息子たち、そして王妃エステルの酒宴に
 ひとりだけ招かれたという特別待遇について誇っていました。

 しかしその高ぶりは、見事に地に落とされてしまいます。
 自分が最も憎んでいたモルデカイその人が、王から栄誉を与えられ、
 そのモルデカイを称えるために、自分が使われたからです。

 神は高ぶるものを、低くされます。
 へりくだるものに恵みを与えてくださいます。
 どんなに財産があっても、家族が大勢いても、

 それらのものはすべて、神様が与えてくださったものだからです。
 人はそれらを誇ることができないのです。決して誇ってはならないのです。
 誇るべきお方は、神様ただおひとりなのです。

 自分自身については、自分を低くして
 謙虚にへりくだっていなければならないのです。
 そのとき、神様は高く引き上げてくださいます。

むすび.

 むすび1. 神は人の意思の領域の外で働かれる

 神は愛の神です。ですから、私たち人間の意思や決断の領域まで
 入り込んでコントロールされることはありません。
 しかし、それ以外の領域においては、人に働きかけてことをなさいます。

 クセルクセス王に、モルデカイの功績に対する報いを「忘れ」させました。
 エステルの開いた祝宴のあった夜、王を「眠れなく」させました。
 さらに宮廷日誌を「読みたくなるように」させました。

 忘れるというのは、私たちの意思とは関係なく起こります。
 眠れなくなるのも意思とは関係ありません。
 眠りたいのに寝られないということがあります。

 宮廷日誌を「読む」という決断は、もちろん王がしたものですが
 「読みたく」なるような状況を作られたのは神様です。
 「読む」という決断を促す状況を、神様が作られたのです。

 むすび2. 神は偶然のような状況を作り出してみこころを行われる

 そのことによって、一見偶然と思うような状況が作り出され
 偶然のような状況下で、ことが織りなされて進んでいくのです。
 人が企て決断し行動していくことの背後で、

 実は神の計画が着実に進んでいるのです。
 神の愛による救いの計画が広がっていくのです。
 その過程でギリギリのところを通らせられるかもしれません。

 でも大丈夫なのです。神様の計画がちゃんと進んでいくのです。
 私たちは「必ず守られる、最後には神の栄光が表される」と信じて、
 あわてたり動揺したりすることなく、静かに落ち着いていましょう。

 むすび3. 神の最も素晴らしいご計画「イエス・キリスト」による救い

 神様の最も素晴らしい計画、それはイエス・キリストにおいて
 成就しました。キリストは十字架で
 私たちの罪のために身代わりの死をとげられ、

 3日目に復活してくださいました。
 そのことによって、私たちに罪の赦しと永遠の命の希望を
 お与えくださったのです。

 信じるものをすべて救われるようにしてくださいました。
 モルデカイは、木にかけられませんでしたが、
 イエス・キリストは木にかけられて殺されました。

 モルデカイは王のような栄誉を与えられましたが、
 イエス・キリストは復活して、
 王の王として神の国を治めてくださるのです。

 今も神の計画は進んでいます。
 そして用いられるのは、私たちひとりひとりなのです。
 神を信じて、神がしてくださることを静かに待ち望んでいましょう。

 【今日の聖書】
 まことに、イスラエルの聖なる方
 わが主なる神は、こう言われた。
 「お前たちは、立ち帰って
  静かにしているならば救われる。
  安らかに信頼していることにこそ力がある」と。
  しかし、お前たちはそれを望まなかった。

 イザヤ書 30章15節


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