ゆりのきキリスト教会テキスト礼拝説教2012年12月23日


2012年12月23日 主日礼拝説教
「知恵と御霊によって」(使徒の働き6章1節〜7節)

■はじめに

 教会の活動は外に向かいました。いのちのことばである神のことばを人々に語ることによって、教会に加わる人々がしだいに増えていきました。そのことによって、ユダヤ指導者との衝突が起こりました。教会に対する迫害です。しかしそれでも、使徒たちはみことばを語ることをやめませんでした。
 また教会では、みなが持ち物を売ってそれを教会にささげるという行為によって、教会の中には貧しい者がいなかったと言われるような共同生活が行われていました。しかし、それにも問題が起こりました。ささげ物は全部をささげようが、一部をささげようが、その人の自由でした。自分たちの土地を売ったお金を「全部ささげました」とうそを言ったアナニヤ夫妻が、聖霊を欺く罪を犯したとして罰せらました。
 そのようなことを通して、教会は周りの人たちから尊敬され、イエス様の教えはしだいに広がっていったのでした。

■ギリシヤ語を使うユダヤ人

1そのころ、弟子たちがふえるにつれて、ギリシヤ語を使うユダヤ人たちが、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して苦情を申し立てた。彼らのうちのやもめたちが、毎日の配給でなおざりにされていたからである。

 エルサレム教会に、ヘブル語をあまり理解できないギリシヤ語を話すユダヤ人たちが加わるようになりました。そのなかに、夫をなくした年取ったやもめたちがいました。残りの人生をエルサレムで過ごそうと帰ってきた彼女たちがイエス様を信じ、教会の共同生活に入ってきたのでした。通訳を通して教会の運営が計られていましたが、ギリシヤ語を使う教会員から配給に差が生じているという苦情が出ました。
 せっかくエルサレムに帰り、しかも教会に加わったのに、やもめたちは「なおざりにされていた」というのです。やもめは仕事によって生活を支えることは困難でした。教会からの援助が滞ったなら、すぐさま窮乏生活に陥ってしまいます。

2そこで、十二使徒は弟子たち全員を呼び集めてこう言った。「私たちが神のことばをあと回しにして、食卓のことに仕えるのはよくありません。3そこで、兄弟たち。あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判の良い人たち七人を選びなさい。私たちはその人たちをこの仕事に当たらせることにします。4そして、私たちは、もっぱら祈りとみことばの奉仕に励むことにします。」

 使徒たちはこのような問題が起きてはじめて、教える働きと、それ以外の働きを兼ねることは、教会の人数が増えてくるにしたがってむずかしくなったことに気づきました。加えて祈りとみことばの奉仕が十分に全うできなくなっていました。
 この問題は、使徒たちに代わって「食卓のことに仕える」ための新しい役員を立てることによって解決できました。使徒たちの提案は、教会全体の承認するところとなり、教会員の中から7人を選びました。

■選ばれた7人

 7人はこの世的な条件ではなく、「信仰と聖霊とに満ちた人」が選ばれました。その最初にあがっている「ステパノ」と「ピリポ」は、このあと教会が広がっていくうえで重要な役割を果たすことになります。

6この人たちを使徒たちの前に立たせた。そこで使徒たちは祈って、手を彼らの上に置いた。

 使徒たちは手を置いて祈ることによって、彼らをその職に任じました。手を置くことを按手と言います。それによって権威がゆだねられたことを表しました。

7こうして神のことばは、ますます広まって行き、エルサレムで、弟子の数が非常にふえて行った。そして、多くの祭司たちが次々に信仰に入った。

 それは、使徒たちが神様のことばを今まで以上に話すことができるようになったからでした。エルサレム神殿に仕えていた「祭司たち」も新しく教会に加わるようになりました。先週、女の人も増えていったことを見ました(5:14)。ここでは、「多くの祭司たち」も教会に入ってきました。このように、弟子の数が増え、新しい組織が整えられ、教会がさらに大きくなっていったのでした。

■正しい人ヨセフ

 マタイの福音書1:18−21を読みましょう。

18イエス・キリストの誕生は次のようであった。その母マリヤはヨセフの妻と決まっていたが、ふたりがまだいっしょにならないうちに、聖霊によって身重になったことがわかった。

 ヨセフとマリヤは結婚が決まった者同士でした。そのようなとき、マリヤが「身重になったことがわかり」ました。ヨセフはいったい何が起こったのかと思い悩みました。

19夫のヨセフは正しい人であって、彼女をさらし者にはしたくなかったので、内密に去らせようと決めた。

 ヨセフは「正しい人」でした。神様を信じ、神様の教えに従って生きようとしている人です。ヨセフには3つの道がありました。
 マリヤの子は自分の子どもであることを認めて結婚する。しかし、「正しい人」ヨセフは、結婚前にマリヤと関係を持ったという人々の目にさらされることになります。では律法の教えのとおりマリヤを姦淫の罪で訴えるか。それはマリヤの罪を公にすることになります。ヨセフには、マリヤをそのような目にあわせることも忍びなかったのでした。
 それでヨセフは、マリヤを「内密に去らせる」ことにしました。

■マリヤを妻として迎えなさい

 そう決めても、ヨセフは悩み、失望と怒りの中にいたでしょう。そのようなときに神様は語ってくださいました。

20彼がこのことを思い巡らしていたとき、主の使いが夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフ。恐れないであなたの妻マリヤを迎えなさい。その胎に宿っているものは聖霊によるのです。

 ヨセフは自問したでしょう。聖霊による懐妊など聞いたことがない。マリヤの子は不義の子ではなかったのか。聖霊による子とは何なのか。

21マリヤは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方こそ、ご自分の民をその罪から救ってくださる方です。」

 さらに男の子が生まれる。名をイエスとつけるようにと告げられました。イエスとは「主は救い」という意味です。生まれてきた子どもに名前をつけることは父親の役目でした。神様は、救い主がダビデの子孫であることをユダヤ人に知らせるために、ダビデの子孫であったヨセフをイエス様の父として選ばれたのでした。
 マリヤの子をダビデの子孫であるヨセフが自分の子どもとして育てることは、神様がご自分の愛する民を救おうとするご計画の大事な一点でした。「この方こそ、ご自分の民をその罪から救ってくださる方です。」このことを信じられるならマリヤをあなたの妻として迎えなさい、とヨセフに言われたのです。

■罪から救ってくださるお方

 主の使いは「恐れないで」と告げました。そうだ、すべての心配は神様がしてくださる。神様にお任せして、マルヤを妻として迎え、生まれてくる子の父親となろう。ヨセフは、生まれてくる子が神の子であり、「罪から救ってくださる方」であることを信じました。
 そのお方は、「ご自分の民」の罪をすべて引き受け、その罪を赦し、救ってくださるお方です。「ご自分の民」とは、全世界にいる神の選びの民、教会に集う人たちです。
 今年の教会からのクリスマスカードの聖句に、「この方こそ、ご自分の民をその罪から救ってくださる方です」を選びました。イエス様は私たちの救い主、私たちを「罪から救ってくださるお方」です。クリスマスにそのお方がお生まれになったことを感謝して、静かな、喜びのクリスマスの一日を過ごしたいと思います。


ゆりのきキリスト教会テキスト礼拝説教2012年12月23日