ゆりのきキリスト教会テキスト礼拝説教2012年4月15日


2012年4月15日 主日礼拝説教
「よい忠実なしもべ」(マタイの福音書25章14節〜30節)

■はじめに

 イエス様は、ご自身が再びおいでになるまで、弟子たちがどのように過ごしたらよいかを、たとえ話を通して教えてくださいました。先週は10人の娘のたとえ話を見ました。花婿の迎えが遅くなっても、それに対してきちんと準備をしているようにということでした。
 さて、今日は、「タラントのたとえ」と言われているところです。

■タラントを預けられたしもべたち

14天の御国は、しもべたちを呼んで、自分の財産を預け、旅に出て行く人のようです。

 「旅に出て行く人」はイエス様です。イエス様が復活され、地上から天の御国に帰られたことを言っています。「しもべたち」は神の民です。

15彼は、おのおのその能力に応じて、ひとりには五タラント、ひとりには二タラント、もうひとりには一タラントを渡し、それから旅に出かけた。

 主人はひとりひとりのしもべをよく知っていました。「おのおのその能力に応じて」とあります。それぞれ預けられた額は違っていましたが、主人はしもべたちに、これを使って何かをするように期待してタラントを預けて旅に出ました。
 1タラントは6000デナリ。デナリは1日分の賃金でした。1タラントは6000日分の給料、およそ20年分の給与となります。1タラントといえども、かなりの高額であったことがわかります。

16五タラント預かった者は、すぐに行って、それで商売をして、さらに五タラントもうけた。

 彼は主人の言いつけに忠実でした。彼は「すぐに行って」5タラントをもうけ、10タラントにしました。

17同様に、二タラント預かった者も、さらに二タラントもうけた。

 2タラントの人も主人の言いつけを忠実に果たし、倍の4タラントにしました。

18ところが、一タラント預かった者は、出て行くと、地を掘って、その主人の金を隠した。

 1タラントを預けられた人はどうだったでしょうか。彼は迷わず、そのお金をだれにも盗まれないように地面の中に隠したのでした。

■5タラントと2タラントの清算

19さて、よほどたってから、しもべたちの主人が帰って来て、彼らと清算をした。

 「よほどたってから」は、主人の旅がそうとうの長かったことをうかがわせます。主人はひとりひとりを呼んで、預けたお金がどうなったかを聞きました。主人にとって、またしもべたちにとっても喜びの時となる瞬間でした。

20すると、五タラント預かった者が来て、もう五タラント差し出して言った。『ご主人さま。私に五タラント預けてくださいましたが、ご覧ください。私はさらに五タラントもうけました。』

 まず5タラントを預けられた人が来ました。「ご覧ください」、ご主人様。私は5タラントをもうけました。

21その主人は彼に言った。『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。』

 報告を受けた主人は、5タラントを預けたしもべに「よくやった」、「わずかな物に忠実だった」とほめました。さきほどの計算で言えば、5タラントは100年分の賃金に相当しますが、主人のもとには、もっとたくさんのものがありました。主人は「たくさんの物を任せよう」と、さらに主人の持ち物の中から彼に与えました。それは、5タラントもうけたからではなく、「良い忠実な」働きに対する報酬でした。
 5タラントがわずかな物であれば、主人が言ったたくさんの物とは、計り知れない恵みを想像させます。天の御国で、キリストとともに支配する、「主人の喜びをともに喜ぶ」すばらしい天の御国での歩みが約束されたのでした。

22二タラントの者も来て言った。『ご主人さま。私は二タラント預かりましたが、ご覧ください。さらに二タラントもうけました。』23その主人は彼に言った。『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。』

 次に来た2タラントを預けられたしもべも、最初の5タラントを預けられたしもべへの賞賛と全く同じことばを受けました。主人はそれぞれ、与えられた分に対して忠実であったことを見てくださり、喜ばれたのでした。
 10タラントに増えたか、4タラントに増えたかは、問題ではありませんでした。与えられたものに対して、忠実に管理したことが主人の喜びでした。

■1タラントの清算

24ところが、一タラント預かっていた者も来て、言った。『ご主人さま。あなたは、蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めるひどい方だとわかっていました。

 3番目にやってきたしもべはどうだったでしょうか。彼は預かった1タラントをどうしたかではなく、まず主人がひどいお方であること、無理難題を押し付けるお方であるという非難から始めました。自分が仕事をしなかったことは主人のせいであると、弁解したのでした。
 彼の気持ちはこうだったのでしょう。主人がそのような厳しいお方でなければ、自分も仕事ができたのです。自分が働かなかったのは私のせいではありません、ご主人がこわかったせいです。

25私はこわくなり、出て行って、あなたの一タラントを地の中に隠しておきました。さあどうぞ、これがあなたの物です。』

 彼は1タラントを預けられたとき、主人の思いを知ろうとはしませんでした。1タラントでは何もできないと思ったかもしれません。それで、1タラントを減らしてしまったらどうしようと心配し、失敗したらその結果の仕打ちが恐ろしい。彼はそのような思いでいっぱいになってしまい、そのまま穴に埋めてしまったのでした。彼は、1タラントを差し出し、このように少しも減らさないでここにあります、と主人に言ったのでした。

26ところが、主人は彼に答えて言った。『悪いなまけ者のしもべだ。私が蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めることを知っていたというのか。27だったら、おまえはその私の金を、銀行に預けておくべきだった。そうすれば私は帰って来たときに、利息がついて返してもらえたのだ。

 ところが主人は、「お前は役立たず、怠け者だ」と怒ったのでした。預けられたタラントは、他のしもべに比べて少なかったかもしれません。しかし、それをしまいこんでおくのではなく、使って生かして、何かをすべきだったのでした。最善ではないが、「銀行に預けておく」ことでも良かったのでした。
 主人が預けたタラントは、使われてこそ意味があり、主人もそれを望み、期待していたのでした。

28だから、そのタラントを彼から取り上げて、それを十タラント持っている者にやりなさい。』29だれでも持っている者は、与えられて豊かになり、持たない者は、持っているものまでも取り上げられるのです。

■イエス様が来られるまで

 神様は、ひとりひとりに賜物を与えておられます。そして、神様はそれを生かすように、望んでおられます。さらに、イエス様が帰って来られたとき、それを忠実に用いたかどうかを問われるのです。
 このたとえは、預けられたタラントを生かさない者は滅びると言っているのではありません。イエス様の弟子でない者、神様のことを誤って理解している者は、結局はこのようなことになると言っているのです。

30役に立たぬしもべは、外の暗やみに追い出しなさい。そこで泣いて歯ぎしりするのです。

 これはパリサイ人、律法学者へのことばでもありました。彼らには神様への恐れがありました。どんなにわずかな失敗も赦されず、どんな律法の違反もしてはいけないと思って生きていました。それがパリサイ人、律法学者の神理解であり、信仰生活でした。
 イエス様の十字架を信じた者は、みな等しく神様に愛されている者たちであり、みな神の国の入ることができるのです。これが最もすばらしい約束であり恵みです。これだけでもう十分ですが、それに加えて、それぞれに与えられている賜物を忠実に用いた者に、さらに豊かな恵みが与えられるというのです。
 さらに神様の恵みのすばらしさは、神様がすべてのことを行わせてくださると約束してくださっていることです。

ピリピ人への手紙2:13−16「13神は、みこころのままに、あなたがたのうちに働いて志を立てさせ、事を行わせてくださるのです。14すべてのことを、つぶやかず、疑わずに行いなさい。15それは、あなたがたが、非難されるところのない純真な者となり、また、曲がった邪悪な世代の中にあって傷のない神の子どもとなり、16いのちのことばをしっかり握って、彼らの間で世の光として輝くためです。」

 与えられたタラントを生かし、行わせてくださるのも神様のみこころであることを知って、これからも感謝して歩んでいきたいと思います。


ゆりのきキリスト教会テキスト礼拝説教2012年4月15日