過酷なクリスマス3「エジプトへの避難」
1.東方の博士たちが幼子イエスを礼拝しにやって来た
イエスがベツレヘムで生まれた後、ヨセフたちはしばらくベツレヘムに滞在しています。
そこへ、東方から博士たちがやってくるのです。
イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。
そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。
「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。
わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」
マタイによる福音書 2章1〜2節
彼らは、イエスを礼拝しにやってきました。
そしてベツレヘムにいたイエスに出会い、宝物をささげたのです。
家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。
彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、
黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。
マタイによる福音書 2章11節
2.博士たちはヘロデの言葉を無視して帰って行った
博士たちはイエスを礼拝した後、ヘロデの所に戻る予定でしたが
「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、
ヘロデの所には寄らずに、別の道を通って自分たちの国へ帰って行ったのです。
ところが、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、
別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。
マタイによる福音書 2章12節
ヘロデは、博士たちが自分の言葉を無視して帰国してしまったことを
後になって知ることになるのですが、それを知ったその時怒り心頭に達し
幼子イエスを探し出して殺すために、ベツレヘムとその周辺一帯にいた
二歳以下の男の子を、一人残らず殺させるのです。
残虐この上ない、凄まじく自己中心的な王であったことがわかります。
しかしヨセフとマリアは、その前にいち早く主の天使から逃げるよう言われていました。
占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。
「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、
わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。
ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」
マタイによる福音書 2章13節
3.ヨセフとマリアは幼子イエスを連れてエジプトへ避難した
まだ2歳以下であった幼子イエスは、もうその時にヘロデ王から命を狙われているのです。
ヘロデの統治している地域には、もはや住んでいることができませんでした。
外国であるエジプトに、逃げなければならない程だったのです。
そしてヨセフとマリアは、夢を見たその夜のうちにエジプトに向かって逃げていくのです。
ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、
ヘロデが死ぬまでそこにいた。
それは、「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」と、
主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
マタイによる福音書 2章14〜15節
幼子イエスを連れたヨセフとマリアは、今度はベツレヘムからエジプトへと
逃避行を続けるのです。おそらくまだ一度も行ったことのない外国の地に
命を狙われた幼子を連れながら逃げていくという、過酷な状況がそこにはありました。
エジプトまでの距離は、ナザレからベツレヘムの倍以上あります。
博士たちからの贈り物があったので、費用は賄えたかもしれませんが
その旅程も、大変だったことでしょう。
またエジプトに着いてからも、言葉や文化の違いをはじめとして、
神を信じない異教の地ということでの、様々な困難があったことでしょう。
とにかく過酷なエジプト逃避行だったわけです。
むすび.ヘロデ王から命を狙われ避難するという過酷な状況も神の計画
臨月でのナザレからベツレヘムへの移動、家畜小屋での出産に続き
ヘロデ王に命を狙われる中での、エジプトへの避難という
過酷な状況を強いられたヨセフとマリアでしたが、これも神の計画の一つだったのです。
エジプトへ避難して、そこからイスラエルの地に帰ることによって
「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」という
旧約聖書のメシア預言が、成就していくことになるのです。
イエスこそが正真正銘の救い主であるということが、示されることになるのです。
神の計画は、過酷さの中にしっかりと進んでいたのです。
過酷さは一見すると不幸にも見えますが、実はそこに神の計画が隠されていたのです。
【今日の聖書】
さて、ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。
そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、
ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。
マタイによる福音書 2章16節