ヤッファの6人
1.6人のヤッファのユダヤ人の信徒がペトロに同行した
1.1 ペトロのコルネリウス家訪問には6人の人が同行していた
ペトロがヤッファから、カイサリアのコルネリウスの家に行った時
ヤッファから6人の人々が、ペトロに同行しています。
すると、“霊”がわたしに、『ためらわないで一緒に行きなさい』と言われました。
ここにいる六人の兄弟も一緒に来て、わたしたちはその人の家に入ったのです。
使徒言行録 11章12節
1.2 彼らは割礼を受けているユダヤ人だった
ですからヤッファからは、ペトロを含めて最低でも7人で
カイサリアの、コルネリウスの家に出かけて行ったことがわかります。
彼ら6人は、割礼を受けている信者すなわち生粋のユダヤ人だったようです。
割礼を受けている信者で、ペトロと一緒に来た人は皆、
聖霊の賜物が異邦人の上にも注がれるのを見て、大いに驚いた。
使徒言行録 10章45節
2.同行した6人はユダヤ人だったので従来異邦人とは交流していなかったはず
2.1 彼らは異邦人とは分断された生活をしていたはず
ユダヤ人だったということは、当然異邦人ともサマリア人とも
ほとんど交流は、していなかったはずです。
特に異邦人とは、完全に分断された生活をしていたはずです。
ペトロがエルサレムに上って来たとき、割礼を受けている者たちは彼を非難して、
「あなたは割礼を受けていない者たちのところへ行き、一緒に食事をした」と言った。
使徒言行録 11章2〜3節
教会の人々は、割礼を受けていない者たちとは一緒に食事をしてはならない
という意識の中で、生活していたことがここから見えてきます。
ですからこの6人も、同じような意識でいたことがわかります。
2.2 彼らは異邦人と断絶していた状態でペトロに同行した
ということは彼らは、「異邦人とは交流してはならない」という
当時の共通認識を、しっかりと持ち続けていたそんな中で、
ペトロと一緒に、異邦人の家に出かけて行ったということになります。
2.3 彼らはペトロのように幻で教えられてはいなかった
ペトロは神に、「異邦人も清くされたんだよという幻」を見せられていますから
「異邦人は汚れた存在だと考えてはならない」ということを、
しっかりと、神に教えられていました。だから躊躇なく出かけることができたのです。
けれども同行した6人は、そのような幻を見てはいません。
「異邦人は汚れている」と、それまでは教えられてきてそう考えていたはずです。
「異邦人とは、決して交わりをもってはならない」という認識でいたことでしょう。
3.6人はペトロを信頼しきっていたように見受けられる
3.1 彼らの同行するという決断が早かった
にもかかわらずこの6人は、ペトロが「異邦人の家に行く」と言ったときに
躊躇せずに即、彼に従って同行しているのです。
ペトロが幻を見た翌日に、彼らは出発しています。
時間としては、ほとんど1日しか経っていないのです。
その間にペトロから幻の話を聞いたとしても、その判断と決断が早いのです。
どうしてそんなに早く、従来とは違った決断ができたのでしょうか?
3.2 彼らは躊躇していなかった
「いや異邦人の家でしょ?ちょっとそれはまずいんじゃないかなあ」
「本当にその幻って、異邦人も清められたという意味だったんですか?」
「やっぱり律法には、はっきり書いてあるしなあ?いいのかなあ?」
などと躊躇していたら、翌日に同行などできなかったのです。
コルネリウスから遣わされて来た3人は、予告もなく突然来ています。
そして一泊して翌日即、出発しています。準備期間はなかったのです。
3.3 彼らはペトロを信頼しきっていた
ペトロの幻の話が、しっかりとこの6人にも伝わっていたのです。
この6人が、ペトロを本当に信頼しきっていたことがわかります。
ペトロが神に導かれて行動しているという事を、彼らは確信していたのです。
「それはなぜだったのか?」「どうしてそんなに信頼しきれたのか?」と言えばそれは、
彼らが、ヤッファでペトロによる奇蹟を体験していたことによるでしょう。
死んだタビタが、ペトロによって生き返らされたのを彼らは見ているのです。
確実に死んだのに、生き返ったタビタがその町で生活していたのです。
そんな体験をしたなら、ペトロを信頼しない訳にはいかなかったでしょう。
「ペトロにはやはり、聖霊によって神の力が宿っている」
「ペトロは間違いなく、神に導かれている」
「ペトロに従えば、間違いない」そんな思いでいたのではないでしょうか?
だから彼らの決断と行動が、速やかだったのではないでしょうか?
むすび.6人のペトロへの信頼はタビタの奇蹟も大きな要因
@ 幻を見るのはペトロ一人で十分だった
当時の教会のメンバーで、積極的に異邦人の家に行こうと考えていた人は皆無だったはずです。
「異邦人の家になど、絶対に行きません」と考えていた人たちばかりだったのです。
そんな中でヤッファの6人は、ペトロと共に躊躇なく異邦人の家に出かけています。
幻を見たのはペトロひとりだけでしたが、それで十分だったのです。
6人がペトロと一緒に、ペトロが見たのと同じ幻を見る必要はありませんでした。
6人はペトロが話す幻の話を、聞くだけで良かったのです。
A タビタの生き返りの奇蹟はペトロへの信頼を強めた
それは6人の心が、ペトロに向かって大きく開かれていたからです。
そこには、ペトロがヤッファでなした奇蹟「タビタの生き返り」が
大きく関与していたことは、間違いないでしょう。
B 同行者6人がいたから教会への説得力が増した
このように、コルネリウスの家にペトロの同行者が6人もいたので
ペトロを非難した教会の人々への説明の時に、ペトロは説得力を増しているのです。
ペトロの説明の言葉を、この6人が裏付けていたからです。
7人が同じことを言っていたなら、教会の人々も
彼らの言葉を信用しない訳には、いかなかったのです。
そして、教会は「異邦人も救われる」という理解をもつようになっていくのです。
【今日の聖書】
すると、“霊”がわたしに、『ためらわないで一緒に行きなさい』と言われました。
ここにいる六人の兄弟も一緒に来て、わたしたちはその人の家に入ったのです。
使徒言行録 11章12節