ヨセフは見た夢を兄たちに語った
1.ヨセフは夢の話を兄たちに語った
ヤコブの子のヨセフは、ある時夢を見ます。
そしてその夢の内容を、兄たちに話すのです。
畑でわたしたちが束を結わえていると、
いきなりわたしの束が起き上がり、まっすぐに立ったのです。
すると、兄さんたちの束が周りに集まって来て、
わたしの束にひれ伏しました。」
創世記 37章7節
それを聞くと、ヨセフの兄たちはヨセフをますます憎むようになります。
兄たちはヨセフに言った。
「なに、お前が我々の王になるというのか。
お前が我々を支配するというのか。」
兄たちは夢とその言葉のために、ヨセフをますます憎んだ。
創世記 37章8節
ヨセフがこの時夢の話をしなければ、兄たちの憎しみがそれ程増すことはなかったでしょう。
けれども、ヨセフがそれを話してしまったばっかりに
彼は、ますます兄たちから憎まれるようになったのです。
2.ヨセフは別の夢の話を父と兄たちに語った
ヨセフは夢の話をした後、兄たちにますます憎まれるようになりましたが
さらに別の夢を見てしまい、その夢の話も兄たちにしてしまうのです。
ヨセフはまた別の夢を見て、それを兄たちに話した。
「わたしはまた夢を見ました。
太陽と月と十一の星がわたしにひれ伏しているのです。」
創世記 37章9節
ヨセフは最初の夢の話の後で、兄たちの憎しみが高まったことに
気づいていなかったのでしょうか?
ますます憎まれるようになったことには、おそらく気づいていたことでしょう。
けれども、それでも2回目の夢のことを語っているのです。
「今度の夢の話を話したら、きっと兄たちは憤慨するだろう」
「こういう場合は、話さない方が無難だな」とは思わなかったのです。
ヨセフは兄たちの顔色を伺ったり、憎まれるのを恐れたり
空気を読んだりなどということは、していません。
見た夢の話を、はっきりと語って伝えているのです。
今回もヨセフは、兄たちから妬みをかうことになってしまうのです。
兄たちはヨセフをねたんだが、父はこのことを心に留めた。
創世記 37章11節
3.夢の話をしたからこそヨセフは売られてエジプトに行くことになった
ヨセフは、最終的に兄たちの手によって、売られてしまいます。
夢の話をしたからこそ、ヨセフは売られてエジプトに行くことになったのです。
はじめヨセフは、穴に投げ込まれて殺されそうになります。
兄たちは、はるか遠くの方にヨセフの姿を認めると、
まだ近づいて来ないうちに、ヨセフを殺してしまおうとたくらみ、相談した。
「おい、向こうから例の夢見るお方がやって来る。
さあ、今だ。あれを殺して、穴の一つに投げ込もう。
後は、野獣に食われたと言えばよい。
あれの夢がどうなるか、見てやろう。」
創世記 37章18〜20節
しかしユダの一言で、売られることになったのです。
ユダは兄弟たちに言った。
「弟を殺して、その血を覆っても、何の得にもならない。
それより、あのイシュマエル人に売ろうではないか。
弟に手をかけるのはよそう。あれだって、肉親の弟だから。」
兄弟たちは、これを聞き入れた。
創世記 37章26〜27節
ヨセフが夢の話を、2回も続けてしていさえしなければ
殺されそうになったり、売られたりするほどまでには
なっていなかったことでしょう。
「
あれの夢がどうなるか、見てやろう。」とあるように
ヨセフの2回の夢の話は、確実に兄たちを憎悪の人にしているのです。
むすび.兄たちを恐れずに語ったからこそ家族全員の命が助かった
もしヨセフが、夢の話を兄たちに語っていなかったとしたら、どうだったでしょうか?
売られてエジプトに行くこともなく、父ヤコブの元で過ごし続けていたことでしょう。
しかし、その地にはやがて大飢饉が起きるのです。
もしかしたらその飢饉で、ヤコブの家族は飢えのために全滅していたかもしれないのです。
けれどもヨセフが夢の話をして、兄たちの憎しみや妬みをかってエジプトに売られたからこそ
エジプトで大臣の座につくことになり、父の家族全員を飢饉から救うことになったのです。
人の顔色を伺ったり、空気を読んだり、人に調子を合わせたりすることは危険なことです。
兄たち全員から憎まれることになったとしても、はっきりと語ったヨセフのように
周囲の全員から反対されることになったとしても、語るべきことは
はっきりと語らなければならないのです。
総督ポンティオ・ピラトのように、群衆の同調圧力に負けてしまって
自分では無罪だと思っていたイエスを、十字架につけてしまうようではならないのです。
【今日の聖書】
ヨセフは夢を見て、それを兄たちに語ったので、
彼らはますます憎むようになった。
ヨセフは言った。
「聞いてください。わたしはこんな夢を見ました。
畑でわたしたちが束を結わえていると、
いきなりわたしの束が起き上がり、まっすぐに立ったのです。
すると、兄さんたちの束が周りに集まって来て、
わたしの束にひれ伏しました。」
創世記 37章5〜7節