とりあえずパンを!
ヨナタンから、サウル王が自分の命を確かに狙っていることを
知らされたダビデは、そこから急いで逃げ去り
まずノブの祭司、アヒメレクのところにただ一人で行きます。
ダビデは、ノブの祭司アヒメレクのところに行った。
ダビデを不安げに迎えたアヒメレクは、彼に尋ねた。
「なぜ、一人なのですか、供はいないのですか。」
サムエル記上 21章2節
アヒメレクは、ひとりでダビデが来たことに驚きます。
ダビデはそれに対して、その場しのぎの説明をして納得させ
パンと武器を求めます。
それよりも、何か、パン五個でも手もとにありませんか。
ほかに何かあるなら、いただけますか。」
祭司はダビデに答えた。
「手もとに普通のパンはありません。
聖別されたパンならあります。
従者が女を遠ざけているなら差し上げます。」
サムエル記上 21章4〜5節
とりあえずは、食糧と武器が必要でした。
空腹は、人から力を奪います。
空腹では、肉体の力を要することができなくなります。
パンと武器の両方を、アヒメレクのところで調達すると
ダビデはそこを去って、ペリシテ人の地ガトを目指して
逃げて行ったのです。
祭司だけしか食べることのゆるされなかったパンを
なぜ、ダビデは食べることができたのでしょうか?
人間の切迫した必要の方が、供え物の規定に優先したわけです。
目の前に、空腹で倒れそうな人がいるのに、
このパンは聖別されているから、差し上げられませんというのは
本末転倒なのです。律法は人を生かすためにあるものだからです。
【今日の聖書】
そこで、イエスは言われた。
「ダビデが自分も供の者たちも空腹だったときに何をしたか、
読んだことがないのか。神の家に入り、ただ祭司のほかには、
自分も供の者たちも食べてはならない供えのパンを食べたではないか。
マタイによる福音書 12章3〜4節