今日のできごと


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2017/11/5(日)



もし多数決だとしたら...

 1.初代教会は当初、異邦人は救われないと考えていた

 1.1 ヨシュアはカナンの地の異邦人と交わるなと命じていた

 ヨシュア記には、ヨシュアが死の直前に民に語った言葉が記されています。
 当時、イスラエルの人々が入っていったカナンの地には、
 ユダヤ人ではない異邦人たちが、まだまだ多く住んでいました。

 あなたたちのうちに今なお残っているこれらの国民と交わり、
 その神々の名を唱えたり、誓ったりしてはならない。
 それらにひれ伏し拝んではならない。

 今日までしてきたように、ただあなたたちの神、
 主を固く信頼せよ。
 主が強大な国々をあなたたちのために追い払ってくださったから、
 あなたたちの行く手に立ちはだかる者は、今日まで一人もなかった。
 あなたたちは一人で千人を追い払える。
 あなたたちの神、
 主が約束されたとおり御自らあなたたちのために戦ってくださるからである。

 だから、あなたたちも心を込めて、あなたたちの神、主を愛しなさい。
 しかし、もしあなたたちが背いて離れ去り、
 あなたたちのうちに残っているこれらの国民となれ親しんで、婚姻関係を結び、
 向こうに行ったり、こちらに迎えたりするなら、
 あなたたちの神、主がもはや、
 これらの国民を追い払われないことを覚悟しなさい。

 彼らはあなたたちの罠となり、落とし穴となり、
 脇腹を打つ鞭、目に突き刺さるとげとなり、
 あなたたちは、あなたたちの神、
 主が与えられたこの良い土地から滅びうせる。
 ヨシュア記 23章7〜13節

 カナンの地の異邦人たちと交わってはいけない、
 異邦人が拝んでいる神でないものを、拝んではいけない、
 異邦人と婚姻関係を結んではならない、という命令です。

 1.2 異邦人と交わることは偶像崇拝を持ち込むことになる

 異邦人=偶像崇拝者(神でないものを拝む罪を犯している人々)
 異邦人と交わる=偶像崇拝者たちと交わる=偶像崇拝への参加になってしまう
 ゆえに、異邦人とは、交わってはいけないし、婚姻関係も結んではいけない。

 1.3 もし神から離れて偶像崇拝に走ってしまえば滅びてしまう

 もしそれを破るなら、自分たちが滅びることになってしまう。
 そういう意味の命令だったのです。
 異邦人は偶像崇拝者なので、決して交わってはいけなかったのです。

 ですから、イエス・キリストの時代の人々も、異邦人に対しては
 そのように考えていました。異邦人と交際したり、異邦人を訪問したり
 することは、社会的に禁じられていたのです。

 2.ペトロにもあった異邦人は救われないという意識は変えられた

 2.1 当初ペトロにもあったユダヤ人が外国人を訪問してはいけないという意識

 当然ペトロたちもユダヤ人ですから、そのような意識でいたわけです。
 ペトロが、異邦人であるコルネリウスの家に行った時、こう言っています。
 「ユダヤ人が外国人を訪問したりすることは、律法で禁じられています。」

 彼らに言った。
 「あなたがたもご存じのとおり、ユダヤ人が外国人と交際したり、
  外国人を訪問したりすることは、律法で禁じられています。
  けれども、神はわたしに、どんな人をも清くない者とか、
  汚れている者とか言ってはならないと、お示しになりました。
  それで、お招きを受けたとき、すぐ来たのです。
  お尋ねしますが、なぜ招いてくださったのですか。」
 使徒言行録 10章28〜29節

 2.2 しかしペトロは異邦人も救いの対象であることを知った

 そんなペトロでしたが、異邦人であるコルネリウスの家に神によって導かれます。
 そこで、コルネリウスから「なぜペトロを招いたのか」という経緯を聞いて、
 「ユダヤ人以外の異邦人も救われるのだ」ということを、悟りました。

 そこで、ペトロは口を開きこう言った。
 「神は人を分け隔てなさらないことが、よく分かりました。
  どんな国の人でも、神を畏れて正しいことを行う人は、
  神に受け入れられるのです。
 使徒言行録 10章34〜35節

 2.3 ペトロと共にいたユダヤ人も異邦人が聖霊を受けるのを見て理解した

 コルネリウスの家に行ったのは、ペトロだけではなく、
 ヤッファにいたユダヤ人の信徒も、数人いました。
 複数形で書かれているだけですので、ここからだけでは、

 具体的に何人だったかはわかりません。
 使徒言行録11章12節を見ると、
 少なくとも6人は、一緒だったようです。

 それで、ペトロはその人たちを迎え入れ、泊まらせた。
 翌日、ペトロはそこをたち、彼らと出かけた。
 ヤッファの兄弟も何人か一緒に行った。
 使徒言行録 10章23節

 すると、“霊”がわたしに、
 『ためらわないで一緒に行きなさい』と言われました。
 ここにいる六人の兄弟も一緒に来て、
 わたしたちはその人の家に入ったのです。
 使徒言行録 11章12節

 ペトロと共に、コルネリウスの家に行ったヤッファの信徒たちは、
 異邦人も、聖霊のバプテスマを受けているのを見て驚き、
 ユダヤ人以外の異邦人も救われるということを、目の当たりにしたのです。

 ペトロがこれらのことをなおも話し続けていると、
 御言葉を聞いている一同の上に聖霊が降った。
 割礼を受けている信者で、ペトロと一緒に来た人は皆、
 聖霊の賜物が異邦人の上にも注がれるのを見て、大いに驚いた。
 使徒言行録 10章44〜45節

 3.教会もペトロの証しを聞いて初めて異邦人に救いが及ぶことを悟った

 3.1 エルサレム教会のユダヤ人たちは、ペトロを非難した

 教会の指導者ペトロでさえ、ペンテコステの日に聖霊のバプテスマを受けても、
 コルネリウスの家に行くまでは、異邦人が救われることを理解できませんでした。
 とするならば、他の教会のメンバーはなおさらだったのでしょう。

 ペトロがエルサレムに上って来たとき、
 割礼を受けている者たちは彼を非難して、
 「あなたは割礼を受けていない者たちのところへ行き、
 一緒に食事をした」と言った。
 使徒言行録 11章2〜3節

 教会の中の割礼を受けたユダヤ人たちは、
 異邦人であるコルネリウスのところに行ったペトロを、
 厳しく非難しているのです。

 3.2 教会も異邦人に救いが及ぶことを理解していなかった

 このことは「救いが異邦人にまで及ぶものである」ということを、
 教会が正しく理解していなかった、ということを如実に表しています。
 その時点では、エルサレム教会の見解も、

 「救いはユダヤ人だけのものであって、異邦人には及ばない」
 というものだったのです。
 聖霊に満たされた人が大勢いた教会にもかかわらず、

 「イエス・キリストの救いが全世界にまで及ぶ」という真理を
 教会全体として理解できずにいたのです。
 ペトロとヤッファの信徒たち数人だけしか理解できていなかったのです。

 3.3 教会はペトロの証を聞いて初めて異邦人の救いを理解した

 理解していなかった人々に対して、ペトロは説明を行います。

 そこで、ペトロは事の次第を順序正しく説明し始めた。
 使徒言行録 11章4節

 ヤッファの町にいて祈っていた時のこと、
 カイサリアからペトロを招くために来た三人の人のこと
 コルネリウスの家で聖霊が降ったこと、などを順序正しく説明したのです。

 そうやって初めて、教会の人々は異邦人も救われるということを理解したのです。

 この言葉を聞いて人々は静まり、
 「それでは、神は異邦人をも悔い改めさせ、
  命を与えてくださったのだ」と言って、
 神を賛美した。
 使徒言行録 11章18節

 むすび.ペトロ以外の教会の多くの人々の考えが間違っていた

 もしこの時、ペトロが詳しく説明する前に
 教会が、多数決をとってこのことの良し悪しを決めていたら
 どうだったでしょうか?

 「異邦人の所に行ったペトロは間違っている」と決議されたことでしょう。
 「今後異邦人と交わることがないよう厳重注意」決議だったかもしれません。
 ここからわかることは「多数が正しいとは限らない」ということなのです。

 多数決というのは、そういう危険性をもった決め方なのです。
 当時の教会では、ペトロが「神の導きを詳細に説明し証しした」ので
 異邦人も救われるという真理を、教会のみんなが理解できたのです。

 多数決ではありません。神のみわざを知って、そこから理解へと進んだのです。
 民主主義ではすべて多数決で決議しますが、教会の場合はそうではありません。
 もちろん多数決もしますが、それだけでは決められないのです。

 早急な多数決での決定は、まかり間違うと御心とずれてしまう可能性を
 秘めているのです。
 必ずそこに祈りと、具体的な状況に対する判断が必要となってくるのです。

 【今日の聖書】
 この言葉を聞いて人々は静まり、
 「それでは、神は異邦人をも悔い改めさせ、
  命を与えてくださったのだ」と言って、
 神を賛美した。
 使徒言行録 11章18節

 ※今月18日から旧暦の神在月です

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