2005年 7月のメッセ−ジ   

「私は主を待つ。ヤコブの家から御顔を隠しておられる方を。
私はこの方に、望みをかける。
(イザヤ817

今、私たちは礼拝の説教で旧約聖書の「創世記」を連続して学んでいます。

信仰をもって神様の前に歩んでいたノアは、箱舟を建設するように神様から命じられました。四十日間の豪雨と全地を水没させた激しい洪水という危機的状況からノアと家族は救われましたが、水は百五十日にわたって増水しました。

危機的状況は去りましたが、ノアには新たな試練が待っていました。帆柱のない箱舟は水の流れのまま漂流を続けたのです。長期の不安という第二の 試練が待っていました。行き先もわからない、先も見えない、将来も見通しがつかない中に百五十日以上もおかれたのです。しかし帆柱を立てて船を操る道を選ぶのではなく、ノアは「神の息吹だけが我らを導く」との思いで全てを神の御手に委ねました。

さらに水が引いた後、ノアが鳩を放ったところ低地に育つオリーブの若枝をくわえて鳩は箱舟に戻って来ました。すでに低地まで乾き始めたことを意味しており、新しいいのちの世界が始まったという希望を若枝は象徴しています。

焦る心、はやる心、少しでも早く行動に移したいとの思いを抑えながらノアは地が完全に乾ききるまでさらに約三ヵ月、確かな希望を持って待ちました。洪水が起きてから一年と十日後、最終的にノアに、「箱舟から出なさい」との、神のことばが臨んだ時にノアは始めて箱舟から出て地におりました。「希望を持って待つ」「神のことばを受けて行動する」この二つのレッスンをノアは箱舟のなかで学んだのでした

厳しいストレス社会の現代、うつ病患は十五人に一人とも言われ「誰がかかってもおかしくない心の風邪」とも表現されるほどです。約八割の方が医療機関で薬物療法を受けることで二〜三週間で回復すると言われています。しかし初期の段階で心身のサインを見過ごし無理を重ね重症化させると数ヶ月から数年の治療を要することも少なくありません。

心理学者の河合隼雄先生は患者さんに「希望を持って待つことが回復の道です」と常にお伝えしていると語っておられました。癌のように病と闘うのではなく「自然体」でただ待つ、しかも希望を持って回復を待つことが大切なのだそうです。

試練の時こそ神の導きとみことばを、信仰と希望と愛を持って待つことを学びましょう。


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