5月のメッセ−ジ   2001年

「母の愛と神の愛」

 「 愛する者たち。私たちは互いに愛し合いましょう。愛は神からでているのです。」
             ヨハネ第1の手紙 4章7節

5月第2日曜日は母に感謝の気持ちを伝える「母の日」です。

母の日は1914年に、アメリカのウィルソン大統領によって制定されました。ウェストバ−ジニア州にあるアンデレ教会で、ジャ−ビス夫人が天に召されたお母さんの追悼記年会の会場をカ−ネ−ションで一杯に飾って母への感謝の気持ちを表しました。お母さんが一番好きだった花がカ−ネ−ションだったからです。「母に感謝する記念の日」をこの日にしましょうという願いがやがて教会から全米中に広がり人々の賛同を得たのです。

いのちを胎内に宿し、いのちを保護し、いのちを世に産みだし、生まれたいのちを育む、この母の努めは「生命の尊厳」と「生命の保護」にかかわる意義深い仕事です。

健康で経済的にも大丈夫だったから、母は私たちを産んだのではありません。たとえ生命の危険が考えられても、経済的にどんなに厳しくても、母は私たちを産んでくれたことでしょう。いのちの芽が安易に摘まれてしまうような現代の日本社会にあって、母が私たちを産んでくれたこと、守る決心をしてくれたこと、そこには小さないのちを愛しむ、まなざしがあったことを忘れてはなりません。

嬰児遺棄、養育放棄、児童虐待の悲しいニュ−スが新聞に載らない日はありません。いのちを愛しむこころが希薄になりつつあるような思いがします。聖書は「愛は神から出ているのです」と愛の源泉は創造主なる神にあり、ひとり子さえも惜しまずに十字架にかけて罪人の罪を赦そうとされた父なる神の中にあると教えています。この世界は根底において神の愛によって支えられているのです。ですから神を失うことは愛を失うことに通じてゆきます。

神戸のパルモア病院長の三宅廉先生は、新生児医療の道を切り拓いたパイオニアです。かつて、未熟児たちは生存する能力が薄弱と判断され、十分な手当もされないまま放置されたそうです。小児科医としてそのことに心を痛めていた先生は、大学教授の地位名声を投げうって新生児医療の道に生涯をささげました。未熟児の小さな胸に指を1本当てて心臓マッサ−ジをするその姿に私は感動を覚えました。そこにはいのちを優しく見守るぬくもりがあり、イエス様と同じまなざしがありました。

この母の日、親と子で与えられたいのちを尊び、愛しみ、互いへの感謝をわかちあうことを学びたいと思います。
2001年5月2日