● 2003年度新年礼拝説教 「私たちの永遠の祈り 主の祈り」


2003年 元旦礼拝                          200311

「私たちを祝福してくださる恵みの神」

『ヤベツはイスラエルの神に呼ばわって言った。「私を大いに祝福し、私の地境を広げてくださいますように。御手が私とともにあり、わざわいから遠ざけて私が苦しむことのないようにしてくださいますように。」そこで神は彼の願ったことをかなえられた。』(1歴代410


皆さん、新年おめでとうございます。

昨夜から多くの人々が初詣に出かけていますが、私たちは天地を創造された永遠なる神の宮に集い、新年の礼拝をささげる祝福に招かれました。昨年、ブル−ス・ウィルキンソン博士が書いた「ヤベツの祈り」という小さな祈りの本がアメリカでベストセラ−となりました。日本にも紹介されるや否やこの本をめぐって実は賛否両論が沸き起こりました。あるクリスチャンは「祈りがこんなご利益的な信仰に堕落してはだめだ」と反対し、あるクリスチャンたちは、「同じように素直に祈り求めたならばすばらしい祝福をいただいた」と絶賛しました。私も昨日、はじめて手にとって読んでみましたが、今朝は本の評価よりも聖書に記されているヤベツその人自身に目を留めて、彼の祈りから学びましょう。

ヤベツとは1歴代誌4章に記されているユダ部族の第44代目の人物です。次のような率直な願いをささげ、神にその願いがかなえられた人として名が記されています。

「私を大いに祝福し、私の地境を広げてくださいますように。み手が私と共にあり、災いから遠ざけてくださいますように」(4:10)

なんと率直でストレ−トな祈りでしょう。悪く言えば何と「どあつかましい」祈りでしょうか。本音丸出しの祈りです。翻訳では「父よ、どうかわたしを祝福してください。それもちょっとやそっとではなく、たくさん祝福してください!」となっています。

地境とは、直接には「領地」を指しています。ヤベツは先祖から受け継いだ土地をもっと広げてくださいという祈りをささげたのでした。さらにヤベツは「神様の強い御力をもってあらゆる災いと苦難からお守りください」と大胆に祈りました。

彼の名はヤベツ(痛み、悲しみ)と母親によって名づけられました。よほどのことがなければ、実の息子にそんな名前をつける母親はいません。彼の出生をめぐって深い悲しみや鋭い痛みが背後にあったことが推測できます。幼児期の家庭環境はその後の生き方に大きな影響を及ぼすと心理学の世界ではしばしば指摘されます。

ヤベツは家庭的に恵まれなかった人物であったのかもしれません。しかし過去がどのように痛みと悲しみに満ちていたものであっても、ヤベツは神に大いに用いられ尊ばれる人物となりました。その秘訣は彼の「祈りの生活」にあったようです。祈りは人生を変える力を持っています。環境に支配されてしまう私たちの人生を、祈りは神を仰ぎ見る自由で豊かな人生に変えることができるのです。

家庭的に恵まれなかった分、彼は天の父なる神様に愛されることを学び、本当の幸福は人からではなく天におられる神様から与えられることを学びました。彼にとって本当の幸福とは「神様が与えてくださる祝福」いがいにありませんでした。一見、自己中心で、どあつかましいようなヤベツの祈りですが、じつは「神様ぬきには私の幸福は地上ではありえません」という信仰の告白でもあるのです。神様もこのようなヤベツの祈りに答え、彼の領地を広げ、あらゆる苦難から彼を守りぬいてくださったのです。

さらにヤベツは神様が恵みと祝福に満ちたお方であることをよく理解していました。ですから大胆に神の祝福を求めたのです。自分の生い立ちは痛みと悲しみに包まれたものであっても、ヤベツは神様をうらんだりしませんでした。それどころか神様は祝福に満ちたお方であると神様の恵みを仰ぐことができる信仰に幼い頃から生きていたのです。旧約時代の聖徒たちの特徴の一つは、苦難の中にあっても、神が祝福の満ちたおかたであることへの揺るがない信頼でした。

「苦しみに会う前には、私はあやまちを犯しました。しかし今は、あなたのことばを守ります。あなたはいつくしみ深くあられ、いつくしみを施されます。」(詩119:68‐69)

いつ、どのように、どんな形で祝福を注いでくださるのかは恵み深い神様の御領域ですから私たちは委ねなければなりません。しかし「私を大いに祝福してください」と祈ることができる恵みの座に、ヤベツばかりでなく、キリストを信じるすべての神の子供たちは招かれているのです。

イエス様はお弟子たちに祈りのすばらしい約束を語ってくださいました。

「求めなさい。そうすれば与えられます。」(マタイ7:7)

「あなたがたは今まで、何もわたしの名によって求めたことはありません。求めなさい。そうすれば受けるのです。それはあなたがたの喜びが満ち満ちたものとなるためです。」  (ヨハネ16:24)

幸いな祈りの座に招かれている幸いを心から感謝しましょう。

                                   

                  祈り

     主よ、ヤベツのように大胆に「私を祝福してください」と祈る特権へ招いて

くださったことを感謝します。祈ることによって痛みや悲しみや逆境を超え

てゆく霊的な力を注いでくださ