2009年度説教 12月20日 礼拝
「クリスマスシリ−ズ(3)」


題「クリスマスの光」

「すべての人を照らすそのまことの光が世に来ようとしていた。この方はもとから世におられ、世はこの方によって造られたのに、世はこの方を知らなかった。この方はご自分のくにに来られたのに、ご自分の民は受け入れなかった。しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとされる特権をお与えになった。 この人々は、血によってではなく、肉の欲求や人の意欲によってでもなく、ただ、神によって生まれたのである。ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた。」(ヨハネ1:9−14)

キリストの誕生をもって西洋の歴史はBCADに区分されましたから、今年で2010回目のクリスマスを人類は祝うことになります。ところであなたは本当のクリスマスを何回、お迎えになりましたか。私は21歳でクリスチャンになりましたから今年で37回目のクリスマスを迎えることになります。

今日の箇所でヨハネは、神のひとり子が人となって誕生したという歴史的事実を証言しています。「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた。」(14)。栄光に満ちた神のひとり子はついに時が満ちて、ユダヤのベツレヘムでマリヤの子として誕生したのです。

さらにヨハネは御子の誕生の意義を「すべての人を照らすそのまことの光が世に来ようとしていた。」(9)と解き明かしています。

1 まことの光

世界最大の光といえば太陽の光です。真っ暗な宇宙空間を太陽は照らしています。けれども太陽の光といえども未来永劫にわたって輝き続けるわけではありません。太陽にも星としての寿命があることをご存じでしたか。およそ40−50億年後には太陽はやがて大きく膨張し周囲の惑星を飲み込んで最後に大爆発を起こして星の生涯を閉じてゆくと天文学者は計算しています。ですから太陽といえども永遠ではありません。永遠でないものを「まことの光」と呼ぶことはできません。

さらに太陽の光といえども地球の裏側まで同時に照らすことはできません。日本が昼ならブラジルは夜です。太陽は地球のおよそ半分の人しか照らすしかできませんから「全ての人を照らす光」とはなりえません。限界があり限定があり部分的なものを「まことの光」とは呼べません。

さらに太陽の光といえども残念ながら人の心の中まで照らし出すことはできません。照らすことができるのは表面だけです。人は夜に悩むばかりではありません。明るい太陽の下でさえ人は生きることの苦しみや困難さを覚え、自分の心の内面を見ながらその闇の深さに救いを求めています。人が光を求めているのは外側ではなくむしろ心の内側なのです。心の闇に光が当たらなければ救いはありまえん。ですから心の中を照らすことができない光は「まことの光」とは呼べません。

2 いのちの光

太陽でさえまことの光になり得ない現実の中で、神の御子キリストは、すべての人を照らすことができるまことの光として世に来られました。キリストは、

「わたしは、世の光です。わたしに従う者は、決してやみの中を歩むことがなく、いのちの光を持つのです。」(ヨハネ8:12)とご自身の目的を約束しておられます。

光には2つの働きがあります。一つは照らし出して導く働きです。どうしたらいいのか混乱と迷いの中で苦しむ者を照らし、行くべき道、進むべき道を指し示し、神が願っておられる最善の道へ導いてくださいます。ですから私たちは真っ暗な絶望の中でも、先が見えない暗闇に中でも「祈る」のです。キリストがまことの光として行くべき道を照らし出してくださると信じているからです。

もう一つの光の働きは、光の中に置かれたものをあたたかく包み、癒し、さらなるいのちの成長へと導くことです。太陽の光のもとに氷をおくとやがてゆっくり解けてゆきます。イエスキリストのもとにくれば、私たちの「心の冷蔵庫」にある、怒り、憎しみ、敵意、復讐心、ねたみ、うらやみも愛の光の中でやがて解けてゆきます。癒しを味わうことができます。癒されるだけではなくその試練や失敗や痛みや悲しみを通して、さらにいのちを成長させてくださるのです。苦しみにあったことは幸いでしたと告白できるのです。

詩篇   119: 71  苦しみに会ったことは、私にとってしあわせでした。私はそれであなたのおきてを学びました。

クリスマスのためにポインセチアを花屋さんに買いに行きました。とても安いポインセチアが売られていました。理由を訊くと「処分品ですから。たぶんすぐ枯れますから」と言われました。もう見限ったという感じでした。少しかわいそうに想い、そのポインセチアを2鉢買ってきて教会の前の日当たりの良いところに置いて、水と栄養剤を与え、「クリスマスまでがんばろう!」と励ましました。すると、すぐ枯れてしまうはずのポインセチアががんばって咲いています。とてもうれしく思いながら今日もポインセチアを眺めています。処分品、見限られた花でさえ太陽の光のもとでいのちを輝かせます。
イエスキリストは救い主として、すべての人の心を照らし、弱ったいのちに元気を与え、無力な心を勇気づけて、再生してくださるのです。

これこそがクリスマスの恵みといえます。あなたの心の傷が深ければ深いほど、あなたの心の闇が深ければ深いほど、救い主キリストの光はさらにあなたの中で強く輝き出すことができるのです。

今日、あなたの心とあなたの人生にキリストの光が輝きますように、キリストの恵みがあなたを癒し、あなたに救いをもたらしますようにとお祈りします。

神様の恵みと祝福があなたの上にありますように。