1月16日(日)「 御心の天になるごとく 」説教要旨

           聖句
旧約
 「天が地よりも高いように、わが道は、あなたがたの道よりも高く、わが思いは、あなたがたの思いよりも高い。天から雨が降り、雪が落ちてまた帰らず、地を潤して物を生えさせ。芽を出させて、種まく者に種を与え、食べる者にかてを与える。このようにわが口から出る言葉も、むなしくわたしに帰らない。わたしの喜ぶところのことをなし、わたしが命じ送った事を果たす」  (イザヤ55:9-11)


  新約
 「御国がきますように、みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように」  (マタイ6:10)


   御国(神の国)は祈りの目標ですが、私たちにとって目標ばかりでなく、途中、この地上が問題です。苦しみ、悩むのもすべて地上の問題です。

  しかし、もし地上にだけ捕らわれているなら、祈りは地上のことのおねだりに終わるでしょう。祈りになるには、神、天がなければなりません。
「みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように」
と、天上でみこころが行われることが、私たちの地上での祈りの前提です。みこころが「天において行われている」ことが、私たちの安心の源です。そして地上で戦う、戦いの大きな支えも、そこにあるのです。「神のみこころ」の反対は、「わたしの心、我意」、わがままな私の意志です。普通わがままな私の意志を、神に強要することが祈りだと履き違えられています。

  ここには、それと正反対のこと、私の心が、神のみこころに服従することが記されています。つまり、祈りの初めは、口を使うよりも耳を使わねばなりません。耳を使って、みこころを聞くのです。 そのことはある意味で、我意、わがままなわたしの心と戦いを始めることを意味します。

  イエスはゲッセマネで、
「わが父よ、できることなら、どうかこの杯を、わたしから過ぎされてください」
と祈りました。しかし、長い祈りの戦いの後、みこころに従いました。
「しかし、わたしの心のままにではなく、みこころのままになさってください」
と。このゲッセマネの祈りの苦闘こそ、私たちの祈りの模範ではないでしょうか。祈りの真理は、自我との戦いの果てに、みこころになりきることです。 

  しかし、まだこの地上は、神の国ではありません。地上にもみこころは行われていますが、完全には行われていません。まだ悪魔がはびこって、悪が地上に残っています。そのため、私たちは苦しみ、悩んでいます。そしてその悪の原因が私自身であることさえあります。とすれば、
「みこころが天に行われるごとく、地にも行わせたまえ」
ということは、私自身の悪をやめさせてくださいという祈りでもあります。

  もちろん他の人びとの悪も入りますが、私たちはこの祈りの時、この世の悪が退治されることばかり考えていませんか、今の世の中は悪くなった。確かににその通りですが、それだけなら評論家的です。

  しかし、今の世に「私自身」ははいらないのでしょうか。「みこころが天に行われるごとく、地に行われてる」ためには、私自身が変えられなくてはなりません。それは私自身への祈りでもあるのです。 子供の教育、友人との交わり、夫婦の関係、そこでみこころが行われるとすれば、私自身が変わらなければなりません。

  確かに隣人の悪も十分あります。しかし、同時に私自身にも悪があるのではないでしょうか。私たちは言います、「時代が悪い、政府が悪い、世の中が悪い」、きっとその方が大きいでしょう。

  しかし、世の中には私自身も含まれています。みこころが地に行われることには、私自身が変わることも含まっています。私が変われば、相手も変わります。相手も変われば、世の中も変わります。神のみこころはいっぺんになることもありますが、多くの場合、みこころは徐々になります。もどかしいくらいのこともあります。しかし、ゆっくりですが確実になります。この世の歴史はみこころのなってゆく歴史です。

  旧約聖書で一番感動するのは、ヒゼキヤ王の祈りです(列王下20:1)。預言者イザヤが、
「あなたの病気はなおらない、遺言を書きなさい」
と言ったのに、神はヒゼキヤの祈りを聞いて、まだ預言者が中庭にいる時、その祈りを聞かれ、齢を15年のばしました。神は永遠で変わることのないお方です。確かにのその愛のみこころは決して変わりません。しかし、その在り方、なさりようは時々刻々変わるのです。何とありがたいことでしょう。「なるようにしかならない、仕方がない」のではなく、神は祈りを聞いて、みこころを変えられるのです。愛の神は、また自由の神でもあります。
ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。
   


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