2月14日(日)「愚かなれども迷うことなし」説教要旨

           聖句
旧約 「そこには大路があり、その道は聖なる道ととなえられる。汚れた者はこれを通り過 ぎることはない。愚かなる者も迷うことはない」
  (イザヤ35:8)

  新約 「十字架の言は、滅び行く者には愚かであるが、救いにあずかる私たちには神の力で ある。すなわち、聖書に『わたしは知者の知恵を滅ぼし、賢い者の賢さをむなしいものにする。』 と書いてある。知者はどこにいるか。学者はどこにいるか。神はこの世の知恵を、愚かにされた ではないか。この世は自分の知恵によって神を認めるに至らなかった。それは神の知恵にかなっ ている。そこで神は、宣教の愚かさによって、信じる者を救うこととされたのである」
  (Ⅰコリント1:18-21)


    「愚かなれども迷うことなし」と、「神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強い」、この二つが肝心です。ここでは知恵とか知者とか言われます。
    今日、人びとは科学技術のおかげで、便利になり賢くなりました。コンピューターもあり、テレビもあります。知識だけは十分あり、すべてがそろっています。しかし、皆満足せず、何か欠けを感じています。
    イエスは富める青年に言いました、「汝なお一つを欠く」と。日本は世界で二番目か三番目の富める国です。しかし、この国には、何か一つ欠けているものがある気がしませんか。阪神淡路大震災の時、救援のボランティアができて、そこに新しい愛の交わりができたと聞きました。その時、私たちは忘れていたものを見いだしたのです。

   預言者のイザヤは言います、「愚かなれども迷うことなし」と。私たちは愚かさと言われることを心配します。
    しかし、イザヤは、その時そこには神の大道があって、愚かな者も迷うことがないのであると。大切なことは、神の道に歩むことです。「神の愚かさは、人よりも賢いからです」。

    しかし、それは「無知蒙昧」のことではありません。「神の愚かさ」です。十字架を見てください、世界で一番損をし、馬鹿を見たた人は、イエスと思います。
  賛美歌121番に、「すべてのものを与えし末、死のほか何も報いられで、十字架のうえにあげられつつ、敵をゆるしし、この人を見よ。この人を見よ、この人にぞ、こよなき愛は現れたる」とあります。
  今日、人びとは賢くなって、なるべく損しないように考え、生きます。したがって自分を賭けたり冒険したりしません。ある画家の話ですが、「画家も専門家になると技術面では大差がなく、問題は最後の一歩、それはその人の生き方、信仰、宗教である」と。小利口になって自分を賭けないで、そこから何か偉大なものが生まれるでしょうか。
  今日足りないもの、それは愚かさです。「神の愚かさ」です。十字架は、苦しみだけではなく、神の愛です。真の愛はまことに愚かです。しかし、「愚かなれども迷うことなし」。私たちが迷うのは、どちらが得か、利益で迷うのです。大概は欲です。欲を捨てて、何が神のみ旨かと考えれば、迷わずに真っすぐ神の大道を歩めるはずです。

   ミュンヘンにいたM子さんは長いこと教会に行かず、信仰も忘れてしまったが、一時帰国して故郷の室蘭の教会にでた時、ドイツに日本の牧師が伝道し日本語教会ができていると教えられました。
  そこからミュンヘン伝道が開けました。お礼の手紙に、「私たちにはこのみ言葉のメッセージが欠けていました」とありました。それこそ「宣教の愚かさ」ではないでしょうか。預言者アモスは、
「これ食の乏しきにあらずス、水に渇けるにあらず、実に神の言葉をもとむることの飢饉である」と叫びました(アモス8:11)


   それは別な言葉で言えば、「無を通して知る」ことです。愚かとは自分が無になることではないでしょうか。カルヴァンは、神の全能のまえに、私たちは無にまでちじんで行かねばならないと言いました。
  ピリピ書に、イエス・キリストの姿を次ぎのように描いています。
「十字架の言は、滅び行く者には愚かであるが、救いにあずかる私たちには、神の力である」

  「キリストは神のかたちであられたが、神と等しくあることを固守すべきことと思わず、かえって、己れを無にして、僕のかたちをとり、人間になられた。その有様は人と異ならず、己れを低くして、死に至るまで、しかも十字架の死にいたるまで従順であられた。それゆえに神は、彼を高く引き上げ、すべての名にまさる名を彼に賜った」
  (ピリピ2:6-9)
ここで無=愛であり、それは「名」に通じます。無になって見えてくるものがあります。それが「人よりも賢い神の愚かさ」です。
ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。
   


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