日本キリスト教団

2022.07.03 説教ダイジェスト
礼拝説教要約
神の示すところへ
使徒言行録13章1-3節
  最初に、アンティオキアの教会の指導者だった5人の名前が記されています。 この当時、ユダヤの人々はいろんな理由で、トルコやギリシャ、ローマ、エジ プト、いろんな国に移住していました。この5人のうちの4人は、キレネ人以 外、ユダヤ人だけれどもユダヤ本国以外の土地の出身者です。ですから、その 土地の言葉や、当時の公用語だったギリシャ語を話す人たちでした。さらに地 中海周辺に広がったギリシャ発祥の文化、ヘレニズム文化の影響を受けて育っ た人たちです。

  例えば、イエス様の弟子たちは、12人皆ユダヤ人です。しかも生粋のユダ ヤ人。ユダヤの国の中で生まれ育った人たちです。ガリラヤの漁師だったペト ロと言えども、ユダヤ人ですし、ユダヤの国に生まれ育った人です。しかし、 アンティオキアの教会の、この5人の指導者たちは、ユダヤ以外の国に住んで いた人たち、つまり、ユダヤ人と言えどもユダヤを取り巻く広い世界を知って いる人たちでした。これがアンティオキアの教会の大きな特徴となっています。

 この人たちが、神を礼拝して祈っていたのです。神様は、バルナバとサウロ を選び出し、あらかじめ前もってこの二人の仕事として決めていた仕事をさせ ると示されました。どんな仕事なのかは、この後の箇所にあるように、キリス トの福音を携えて各地を訪れること、伝道の旅をすることでした。

  人がどこで育つか、生活するかということは、その人の考え方に影響を及ぼ すと思います。この使徒言行録に書いてありますが、イエスの弟子たちは、イ エスのいなくなった後の時代に、ユダヤ人でない人が神の救いに与るというこ とをすぐさま信じることができませんでした。神様の救いはユダヤ人に向けら れているのだという考えが体中にしっかり染みついていたのです。

  けれど、アンティオキアの町の中でユダヤ人でない人がイエス・キリストを 信じ、救われるということが起こりました。その場に居合わせたアンティオキ アの人たちは、そのことをすんなりと受け入れ、喜んだというのです。自分た ちがユダヤ人であっても、ユダヤ人でない人が救われることに抵抗がなかった し、ユダヤ人であるかどうかに特別にこだわりを持たなかったのです。アンテ ィオキアの教会の人々は、

 ユダヤ人であるかどうかということからとても自由 だったことがわかります。 ユダヤ人であるかどうかにこだわらなくなったのであれば、世界に目を向け ている人々なのであれば、アンティオキアの教会は、もはや何を躊躇すること があるでしょうか。世界中の人に福音を伝えたいと思うものです。

  けれど、3節には、その時この人たちはすぐに行動を起こさないで、「断食 して祈り、二人の上に手を置いて出発させた」といいます。今日の箇所で、 「断食」という言葉が二度出てきます。最初の断食は、神様に心を向けて、こ れから何をすべきかを問いかけるためでしたが、二度目の「断食」、これは何 のためにしたのでしょうか。それは、バルナバとサウロが、そして、教会の 人々が覚悟を固めていたのだと思います。これからの自分たちのなすことを神 様にゆだねる覚悟を固めたのです。

  2000年前、知らない土地に出かけ旅をすることを想像してみましょう。 人っ子一人いない荒れ地を行くのです。身を危険にさらすことでもあります。 死をも覚悟することです。草履をはいて、ただひたすら歩くのです。行くとこ ろ行くところ、誰か知り合いがいるわけでもなく、イエス様のイの字もまだ聞 いたことがない人たちに、イエスのことを語り掛けるのです。断食して祈った この時に、

 バルナバとサウロは、自分たちのために祈り、教会の人々は二人の ために祈ったことでしょう。 バルナバとサウロは、神様の導きと支えはもちろんのこと、教会の人々の祈 りによって働きました。神様が、この二人の祈りを、教会の人々の祈りを聞き 届けてくださいました。

  聖書の中で、「この私のために祈ってください」と呼びかけている人がいま す。パウロのことです。「兄弟たち、わたしたちのために祈ってください。主 の言葉が、あなたがたのところでそうであったように、速やかに宣べ伝えられ、 あがめられるように。」(Ⅱテサロニケ3:1)祈りの力を知るパウロだからこ そ、愛する人々に、自分のことを祈ってくださいと呼びかけるのです。

   
 愛隣こども園
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