日本キリスト教団

2022.02.06 説教ダイジェスト
礼拝説教要約
「虹の約束」 創世記9章9-17節
 神様は、どれほど人の罪が深くなり、この世に悪が広がろうとも、もう二度 と世界を一掃するようなことはしないと誓われ、契約を交わされます。契約と は、二人以上の人が約束を交わし合うことです。この創世記では、17章でア ブラハムと契約を交わしています。アブラハムは契約を交わしてすぐに神の言 うとおりに割礼を施しました。しかし、ノアとの契約では、神様は契約を守る けれども、その相手が守ることは何もないのです。

  洪水を起こすのは神様ですから、こういう約束をしてこそ、この世を破滅さ せるようなことはないと神様が宣言することになるのです。ノアと交わした契 約は、神様がご自身になすべきことを課すことです。どれほど人の罪が深くな り、この世に悪が広がったとしても、神様はそれを忍耐されるのです。神様は、 この世が平和になり、生きとし生けるものが滅ぶことなく子孫を産み増え広が ることを願っておられます。

  神様は、空に虹を架けて、この約束を思い出すと言われました。虹とは、弓 の形をしています。虹は、弓を思い出させるのです。弓は人を殺す武器ですか ら、弓を置くということは、争うことが終わったこと、平和が来ることを象徴 しています。 神様は空に虹を見て、繰り返し誓いを新たにされるのです。私たちは、神様 の願いを覚え、神様が平和をもたらしてくださることを信じていきましょう。 そして、私たちの心の中にある危ない弓を置くこと、手放すことをしましょう。

 古代の人々にとって、洪水とはとても恐ろしい出来事でした。ナイル川やユ ーフラテス川という大きな川が氾濫し、あらゆるものを押し流していく。洪水 が去ると、そこには何もない。がれきと泥だらけの世界。今まで人が住んでい た場所が、命を寄せ付けない危険な場所に変わってしまいます。秩序は失われ 無秩序になり、何も確かなものはなくなり、全てが混沌の中にある。カタスト ロフィー、一切を破滅させることです。  

  旧約聖書の預言者イザヤは、神の民が経験したカタストロフィー、大きな破 局の中から立ち上げるようにと人々を励ましています。ユダヤの人々は、バビ ロンに敗北し、すべてが終わったと思った。捕囚の憂き目に遭い、異国バビロ ンに連れて行かれ、苦しみの日々を送ってきたことを振り返っています。

  彼らは身を置くところが厳しいだけでなく、神の導きを疑い、神の確かさを 疑い、寄る辺なく、心の置き所なく、全てのことを信じられない心理状態にあ ったようです。目に見える破局がありますが、目に見えない心の破局というこ ともあるのです。心の定まらない無秩序な心境、根を張るところを知らない混 沌とした不安定な心。自分ではどうすることもできない辛い心境です。

  イザヤ書54章8-9節「8 ひととき、激しく怒って顔をあなたから隠した が/とこしえの慈しみをもってあなたを憐れむと/あなたを贖う主は言われる。 9 これは、わたしにとってノアの洪水に等しい。再び地上にノアの洪水を起こ すことはないと/あのとき誓い/今またわたしは誓う/再びあなたを怒り、責 めることはない、と。」イザヤは、神の民が破局とも言える経験をする中に、 神様は慈しみを絶やさず、救いを備えていると告げています。

  55章3-5節「3 わたしはあなたたちととこしえの契約を結ぶ。」そして、 「5 今、あなたは知らなかった国に呼びかける。あなたを知らなかった国は/ あなたのもとに馳せ参じるであろう。」他の国の人々も平和になり、ユダヤの 人々も平和になる。平和はこのようにしてもたらされるというのです。自分一 人の平和は平和ではない。多くの人が平和になること、世界中が平和になるこ とこそ、本当の平和、あなたの平和なのだというのです。そして、その平和の 約束は、神様がノアとの契約を思い起こすことだと言われています。

  私達の目の前に平和を感じさせるものはないかもしれません。けれど、神様 は平和をもたらすと誓われました。神様が救いの世、神の国を来たらせてくだ さいます

   
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