日本キリスト教団

2021.12.05 説教ダイジェスト
礼拝説教要約 「人としての尊さ」
12月5日 創世記2章18-25節、
ルカ福音書15章1-7節
 神は人を創造され、独りでいるのは良くないとし、野の獣や空の鳥を造り、人 のところへ持ってくるが、人にふさわしい「助ける者」は見いだせなかった。そ して、神は人の肋骨から女を創造した。すると、それは人にふさわしい「助ける 者」であった。人は他の生き物とは違い、人としての尊さを持っていることを言 い表している。

  人としての尊さを表現する言葉として、法律用語なら「人権」、哲学用語なら 「尊厳」や「人格」がある。聖書は人としての尊さを、「霊的な存在」だと言い 表している。2章7節には、神は人を造り、命の息、神の霊を吹込まれたという。 それで、人は霊を宿す者、神とつながり、霊的な感受性を持ち、心の奥底の魂で 生きるものとなった。

 人は人と共鳴し合い、霊的な存在は霊的に共鳴し合い、男と女はふさわしい助 け手として夫婦となる。霊的な感受性は、言葉では言い表すことのできない深み を感じ合い、神の御心を感じ取り、人同士が互いを深く理解し合う。

 宮沢賢治は、動物を擬人化して童話を書いた。『よだかの星』は、強いワシに いじめられる、醜い“よだか”という名の鳥が、辛い境遇を思い詰め、魂の悲鳴を 響かせながら、ついに天高くを目指して飛翔する。“よだか”は鳥なので、そもそ も人の思いはないはずだが、だからこそ、“よだか”が飛翔する姿、その叫び声に、 私たち人間の魂の叫びをより一層強く響かせる。読む者は、霊的な思いを掻き立 てられる。

 イエスは羊に託して、一人のことを思う私達の思いの深さを問う。99匹をそ の場に置いて1匹を探す羊飼いの思いとは、その魂の震えはいかばかりか。見失 った羊がどんなに困っているか、我が子のこととして想像してみたい。私達の魂 は震える。イエスは、私達の魂の震え、霊的な悲鳴を聞いていてくださる。私達 のうめきに耳を傾けてくださっている。

  震災で家族を失った方々が、魂を震わせている。グリーフケアがなされている。 魂の悲鳴を聞くために、教会の牧師や僧侶の方々が活動しておられる。学校で生 徒が被害者になる痛ましい事件が起こる。カウンセリングが必要だ。コロナ感染 の中で、多くの人が悲しみを堪えている。魂の震えが少しでも落ち着いて、良い クリスマスを迎えてほしい。

  不治の病になり、最期を看取るホスピスで過ごす方々がおられる。自分の人生 の意味を問う思い、罪の赦しを請う思いを解決する場所だ。人生の霊的な問いを、 最後に解きほぐしていく。ホスピスで聖書の言葉が読まれる意味は大きいと思う。

   
 愛隣こども園
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