日本キリスト教団

2020.4.12 説教ダイジェス
 説教要約「信じることへ」

ヨハネによる福音書20章1-10節

イースター、おめでとうございます。

主イエスは、十字架の死からよみが

えり、死に勝利されました。私たちは

新しい命と歩みが与えられました。

今日の20章の言葉によると、主イエ

スを慕う女の人たちが「主が墓から取

り去られた」と弟子たちに告げました。

弟子のぺトロは墓に急ぎ、墓が空っぽ

であることを確かめて帰ります。9節の

言葉のように、主イエスの復活を信じ

ることへと至っていなかったのです。


 この20章のイエスの墓が空っぽであ

ったことを告げる箇所に、すんなりと読

み過ごすことができない印象を持ちます。

主イエスが復活したことと併せて、もう

一つのこと、信仰がよみがえるというこ

とを伝えようとしているのです。

私たちの「信仰のよみがえり」です。


 見逃せないのは「もう一人の弟子」の存

在です。2節「シモン・ペトロのところへ、

また、イエスが愛しておられたもう一人の

弟子のところへ走って行って彼らに告げ

た」。シモン・ペトロとこのもう一人の弟子、

「二人は一緒に走った」、もう一人の弟子

がペトロより先に墓に着いた。「イエスの

愛しておられたもう一人の弟子」がいます。

しかし、この福音書を読んでも、誰のこと

かわかりません。この匿名の弟子はヨハ

ネ福音書の中で、たびたび登場します。

「イエスが愛しておられた者」とも呼ばれ

ます。イエスの弟子の模範のようです。

 13章23節では、最後の晩餐の席に

着き、ペトロに促されて、イエスに裏切る

のは誰かとイエスに問いかけました。

18章15節では、捕らえられたイエスを

追いかけるペトロを大祭司の館の中に

入れるようにしています。さらに、19章

26節、イエスは十字架の上で母マリアを

この弟子に託します。このようにその存

在をちらちらと現しつつ、今日の20章で

イエスの墓に急ぐのです。この弟子が、

8節「それから、先に墓についたもう一人

の弟子も入ってきて、見て、信じた」。空っ

ぽの墓を見て、イエスの復活をすぐに

「信じた」のです。

 主イエスの復活により、主イエスを信じ

る新たな日々が与えられました。神様は

主イエスが復活したと信じる私たちに、

聖霊を注ぎ、確かな働きかけをしてくだ

さり、私たちの信仰を励まし豊かにして

くださいます。復活したのはイエスだけで

はないのです。主イエスが復活したと信

じる私たちの信仰が守られ、力を与えら

れて、もう一度信じるようにされる。私た

ちの信仰が復活するのです。神の働き

掛けがあるのです。このことを知らせた

くて、8節で、もう一人の弟子は信じたと

書かれているのです。


 20章19節「弟子たちはユダヤ人を恐

れて、・・・家の戸に鍵をかけていた」。

弟子たちはイエスに対する不信仰と疑い、

また自分たちを卑下する思いに囚われ

縮こまっていたのです。主イエスとの間

にもはや平和は失われ、不信仰の闇の

中に放り出されていたのです。弟子たち

は、自分たちの罪のせいで、不信仰の

闇の中に置かれていた。しかし、そのよう

な闇の中に、一つの信仰の灯がともった

のです。それはほのかな小さな灯だった

かもしれない、しかし、確かに信仰の灯

はともったのです。信仰が無に帰したとこ

ろに、新たに信仰が生み出されました。

神は、信仰のないところに信仰を生じさ

せてくださった。ここに、信仰がよみが

えりました。弟子の思い、自分の思いで

イエスを主と従っていたかもしれませんが、

今や、イエスこそ神からの救い主、復活

の主と信じるようにされました。8節「もう

一人の弟子も入ってきて、見て、信じた」。

このもう一人の弟子は、信仰のない闇

の中に、すべて無に帰したようなところに、

信じることを許されました。神様はすべて

が無に帰したところにも、信じることを生

み出してくださいます。この世界は信仰の

ない場所、罪の闇の中かもしれません。

私たちも信じることに遅いかもしれません。

しかし、主イエスは復活され、弟子の一人

は神様から信仰を与えられました。

これがヨハネ福音書が告げるイースター

の喜びです。

どんなに罪深くても信じていなくても、

神様は私たちを見捨てない。不信仰の中

に浮き沈みする私たちをしっかりと捉えて

くださり、強い身腕をもって信じることへと

引っ張り出してくださるのです。私たちの

救い、この世界の救いがもたらされた、

神の愛がもたらされた。主イエスはよみが

えり、私たちと共におられる。希望に溢

れる神様の御業です。これからも、神様

に、信じる人に希望があると信じていきま

しょう。

   
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