2023年11月19日  「オネシモの回復」
          フィレモンへの手紙 1章15〜16節
1.パウロはオネシモの人間関係を回復させるべく動いた
@オネシモはどういう人物だったか?
 オネシモは、元々フィレモンの奴隷だったがパウロの元にいた(16)  彼は、以前はフィレモンにとって役に立たない者だった(11) とパウロは語っている   本来彼は、奴隷としてフィレモンに誠実に仕えて役に立つ者となっていなければならなかったのだが、   実際はその逆だった。役に立たない者になってしまっていた。おそらく、損害を与えて逃げていたのだろう  オネシモはキリストを信じるようになって、監禁中のパウロと共に働いていた   「オネシモはわたしに役立つ者となっています」とパウロは語っている(11)   彼は監禁中で自由に動けないパウロに代わって、パウロの意図していた働きをしていた  パウロをして「私の心であるオネシモをあなたの元に送り帰します(12)」と言わせているほど   相当忠実にパウロに仕えていたことがわかる   パウロの心を自分の心にしていた、すなわちパウロの意志通りに働いていたということ  しかしオネシモは、主人フィレモンへの負い目を放置したままだった (18)  これが一番のネックだった。本来放置したままではいけないことだった
Aフィレモンはどういう人物だったか?
 フィレモンは、元々オネシモを奴隷として使っていた人物  奴隷を持てるぐらいだから、かなり裕福だったか?  奴隷であったオネシモに逃げられて、被害を被っていたと考えられる  しかしフィレモンはイエス・キリストを信じてパウロの協力者となっており、  自分の家の教会を、牧会していたいわゆる「定住牧師」としての働きをしていた  パウロたちの協力者: 「愛する協力者フィレモン (1)」という言葉で、この書は始められている  彼はアフィア,アルキポらと一緒で、フィレモンの家は教会(2) だった  彼はイエスへの信仰と聖徒への愛を持つ人だった(5,7)  「主イエスに対するあなたの信仰と、聖なる者たち一同に対するあなたの愛とについて聞いている」(5)  「わたしはあなたの愛から大きな喜びと慰めを得ました。   聖なる者たちの心があなたのお陰で元気づけられたからです。」(7)
Bパウロはどういう状況だったか?
 私の心であるオネシモをあなたの元に送り帰します(12)  本当はそばに置いておきたかった (13)→けれどもフィレモンの元へ送り返そう  パウロは、オネシモとフィレモンの間の問題を解決しようとしていた  パウロの心の中は、「フィレモンとオネシモの関係はこのままではいけない」  「このままうやむやにしてしまうのではなく、きちんと回復させなければならない」  「本当はずっとここにオネシモを置いておきたいけれども、それではいけない」  そんな思いだったと考えられる
2.パウロの執成しの特徴
@背後にある神の愛による計画を信じていた
 パウロはフィレモンに対して、これは神の素晴らしい計画の一環だと諭した (ロマ8:28)  彼がしばらくあなたのもとから引き離されていたのは  彼をいつまでも自分のもとに置くためであったのかもしれない(15)  主の計画:平和の計画,将来と希望を与える (エレ29:11) 主の計画は最終的には最善に終わる
Aオネシモを自分自身のように愛していた (マタ22:39)
 オネシモは愛する兄弟 (16) なのだと語っている  わたしと思って迎え入れてください (17)  何か損害や負債があれば私の借りにして下さい (18)
Bフィレモンへの愛もにじみ出ている  フィレモンに強制したり命令するのでなく、彼の意志を尊重している
 あなたの承諾なしには何もしたくありません。  善い行いは強制ではなく自発的であるべき (14)  フィレモンの決断を尊重し、彼の自由意志を侵害していない
3.平和を作り出す人に人になろう
@パウロは教会内に平和を回復させていった
 パウロ自身バルナバに執成された結果、教会に加わることができた(使9:27)  パウロが迫害していた教会との間に、この時平和が構築された  そのパウロは、今度はフィレモンとオネシモの間に平和を回復させた  フィレモンの心の中のオネシモに対する思いも  オネシモの心の中にあるフィレモンへの思いも  どちらもきちんと清算して解決されなければならなかった  パウロは二人の間の仲介者となっている
A過去の過ちで人間関係を困難にしてしまう場合がある
 オネシモもフィレモンと会うことなど、できない状況だった  しかしたとえそれがどんな状況だったとしても回復がある  神にとって不可能はない。イエスは平和の君(イザ9:5)  パウロによって回復へと進むことができた  平和の君イエスを信じて進むのなら、互いの間のトラブルも平和に解決してゆく
B私たちは平和を作り出すものとなろう
 平和を実現する人々は幸い,神の子と呼ばれる(マタ5:9)  パウロは、フィレモンとオネシモの間に、平和を作り出した  私たちもパウロの様に、トラブルを仲介して平和をもたらす者となっていきたい  キリストは、私たちと神との間の仲介者となって下さり  私たちを神と和解させて下さった  そのように私たちもまた、人間同士の関係を和解へと導く者となっていこう
むすび.信仰により平和を作り出し人間関係を回復しよう
 オネシモとフィレモンの間に平和の関係が回復した様に  信仰により平和を作り出し人間関係を回復していこう