とりことなったソロモン
1.ソロモン王には神から多くのものが与えられていた
1.1 王としての力と権威が与えられていた
ダビデ王の王位を継承したのは、その子ソロモンでした。
ソロモンには、王としての力と権威が与えられました。
ソロモンは父ダビデの王座につき、その支配は確立した。
列王紀上 2章12節
1.2 人類史上最高の知恵が与えられていた
さらにソロモンには、史上最高の知恵も与えられていました。
神はソロモンに非常に豊かな知恵と洞察力と
海辺の砂浜のような広い心をお授けになった。
ソロモンの知恵は東方のどの人の知恵にも、
エジプトのいかなる知恵にもまさった。
列王紀上 5章9〜10節
ソロモンの知恵は、東方のどの人の知恵にも
エジプトのいかなる知恵にもまさっていたといいます。
その知恵は、あなたの先にも後にもあなたに並ぶ者はいないという程の知恵でした。
見よ、わたしはあなたの言葉に従って、今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。
あなたの先にも後にもあなたに並ぶ者はいない。
列王紀上 3章12節
1.3 莫大な富も与えられていた
神はソロモンに、「富と栄光を与える」と約束されました。
わたしはまた、あなたの求めなかったもの、富と栄光も与える。
生涯にわたってあなたと肩を並べうる王は一人もいない。
列王紀上 3章13節
この約束通り、ソロモンには莫大な富が与えられました。
まず食糧ですが、すごい量です。
毎日の食糧が、次のように記されています。
ソロモンの得た食糧は、日に上等の小麦粉三十コル、小麦粉六十コル、
肥えた牛十頭、牧場で飼育した牛二十頭、羊百匹であり、
その他、鹿、かもしか、子鹿、肥えた家禽もあった。
列王紀上 5章2〜3節
コルというのは、約230リットルということです。
更に金の量も、相当な量でした。キロではなく、トンの単位です。
キカルという単位が使われていますが、約34キログラムだそうです。
ソロモンの歳入は金六百六十六キカル、そのほかに隊商の納める税金、
貿易商、アラビアのすべての王、地方総督からの収入があった。
ソロモン王は延金の大盾二百を作った。
大盾一つにつき用いた金は六百シェケルであった。
延金の小盾も三百作った。
小盾一つにつき用いた金は三マネであった。
王はこれらの盾を「レバノンの森の家」に置いた。
王は更に象牙の大きな王座を作り、これを精錬した金で覆った。
王座には六つの段があり、王座の背もたれの上部は丸かった。
また、座席の両側には肘掛けがあり、その脇に二頭の獅子が立っていた。
六つの段の左右にも十二頭の獅子が立っていた。
これほどのものが作られた国はどこにもなかった。
ソロモン王の杯はすべて金、「レバノンの森の家」の器もすべて純金で出来ていた。
銀製のものはなかった。
ソロモンの時代には、銀は値打ちのないものと見なされていた。
列王紀上 10章14〜21節
ソロモンの時代、銀は値打ちがなかったといいます。
1.4 長寿も与えられていた
そして、神から長寿まで約束されていたのです。
もしあなたが父ダビデの歩んだように、
わたしの掟と戒めを守って、わたしの道を歩むなら、
あなたに長寿をも恵もう。」
列王紀上 3章14節
2.ソロモン王は多くの領土と民を支配し治めた
彼には、何も欠けるものがなかったのです。何から何まで与えられていました。
力と権威、富と名声、大いなる知恵が与えられていたソロモンは
主のために立派な神殿を建てあげ、多くの領土と民を支配しました。
ソロモンは、ユーフラテス川からペリシテ人の地方、
更にエジプトとの国境に至るまで、すべての国を支配した。
国々はソロモンの在世中、貢ぎ物を納めて彼に服従した。
列王紀上 5章1節
ソロモンの噂を聞いてやってきたシェバの女王は、
ソロモンの宮殿と食卓の料理、家臣たちや、
神殿でささげる献げ物を見て、息も止まるような思いだったとあります。
シェバの女王は、ソロモンの知恵と彼の建てた宮殿を目の当たりにし、
また食卓の料理、居並ぶ彼の家臣、丁重にもてなす給仕たちとその装い、
献酌官、それに王が主の神殿でささげる焼き尽くす献げ物を見て、
息も止まるような思いであった。
列王紀上 10章4〜5節
3.ソロモン王は自分の心を治められなかった
多くの領土と民を支配していたソロモン王でしたが、女性のとりことなってしまったのです。
ソロモン王はファラオの娘のほかにもモアブ人、アンモン人、エドム人、
シドン人、ヘト人など多くの外国の女を愛した。
列王紀上 11章1節
結婚が禁止されていた外国の女性を、次から次へと妻としてしまっていたのです。
ソロモンの妻の数は、10人20人というレベルではありません。
ソロモンには、何と700人の王妃と300人の側室がいたのです。千人です。
彼には妻たち、すなわち七百人の王妃と三百人の側室がいた。
この妻たちが彼の心を迷わせた。
列王紀上 11章3節
ありとあらゆるものを手に入れ、広大な領土と多くの民を治めていたソロモン王でも、
自分の心を治めることが、できなかったことがわかります。
ソロモンは彼女たちを愛してそのとりことなった。
列王紀上 11章2節(後半)
ソロモンの心は、外国人の妻たちに捕らえられてしまい
自分ではもう抜け出せない状況、すなわち「とりこ」になってしまったのです。
牢屋に入れられた囚人と同じで、そこから出られない状況に陥ってしまったのです。
外国人の妻たちは、ソロモンの妻になった後も母国の異教の神々に仕えていました。
ソロモン王が老境に入ったとき、彼女たちはソロモンの心を迷わせるのです。
ソロモン王の心は、主から離れ他の神々に向かわせられてしまったです。
ソロモンが老境に入ったとき、彼女たちは王の心を迷わせ、他の神々に向かわせた。
こうして彼の心は、父ダビデの心とは異なり、自分の神、主と一つではなかった。
列王紀上 11章4節
その結果、王国が分裂してしまうのです。
むすび.何一つ不自由のない状態は、逆に大きな危険をはらんでいる
どんなに多くの富や権力や知恵を持っていたとしても
それで自分の心を治めることができるかというと、そうではなかったのです。
何でも自由にすることができるようになると逆に、欲に走り抑えられなくなってしまうのです。
そこに人間の罪の性質が、如実に表されるのです。
健康でお金もあり地位もあり何不自由のない生活、それは実に危険な環境でもあるのです。
「欲望に負け欲望の泥沼に陥りやすい環境である」ということを、忘れてはなりません。
【今日の聖書】
これらの諸国の民については、主がかつてイスラエルの人々に、
「あなたたちは彼らの中に入って行ってはならない。
彼らをあなたたちの中に入れてはならない。
彼らは必ずあなたたちの心を迷わせ、彼らの神々に向かわせる」
と仰せになったが、ソロモンは彼女たちを愛してそのとりことなった。
列王紀上 11章2節