精神科の医師の仕事について

ー心の援助と教会の役割を考えるためにー

精神科医師 大谷英行さん(木本キリスト教会 教会員)

1)心の病を持った方が教会に来られている。どのように対応することが求められるのか。

@支持的に話しを聴くこと(正しい、違うでなく)。「指示的」はダメ。

A心の琴線に響くことばを話すこと。

B無私の傾聴。

2)心の病が増えている時代といわれています。それはなぜなのか。

心の病が注目されるようになり、治療の機会が増えたのではないか、と考える。ただ、確かに神経症や軽症うつ病は増えているようだ。管理社会、リストラ、家族関係の変化があるのかもしれない。また、自殺者は戦争中は少なく、平和な時代に多いといわれる。戦争中は今日明日を生きるのに必死だが、平和になると生きる意味などを考えるようになるからと思われる。いじめの問題も昔から山本有三『路傍の石』下村湖人『次郎物語』に扱われているようにあった。現代は増えているというより、陰湿化したのかもしれない。

3)心の病を持った方に教会として何ができるのか。

精神科医は病を診察できるが、「心の専門家」はむしろ教会の牧師あるいは経験豊かなクリスチャンの方ではないか。みんなで力を合わせて心の問題にとりくんでいきたい。

質疑応答

Q医療の現場で医療行為というより人生相談に応じる場面があると伺ったが、クリスチャンとして福音を伝えたいと思うことはないか?

A自分はわりきって接している。その人自身がもっている宗教を大切にしたい。ある創価学会の患者は診察のたびに冊子をもってきて、それをいただいている。またエホバの証人の患者からは毎回『ものみの塔』や『目覚めよ!』をいただいている。忙しい中それらをめくることもある。いただくことがそれらの方々を受けとめることになり、治療行為になると考えている。

Q私(質問者)も心の病をもってキリストに出会った。私の知り合いの患者にも宗教をもった方が多い。それに対して医者は無宗教だったり宗教に無理解の方が多いように思うが。

A宗教はその人をへりくだらせ、その人を支えるもの。医者は宗教に対して理解をもっていなければならないと私も考えます。

Q私(質問者)は安定剤や睡眠薬を服用していたことがあります。体によくないですか?

A出す薬は副作用が少ないもの。(副作用が出ない限り)飲むことは悪いことではない。むしろ「薬がないと眠れない」と考えてしまう心の依存の方が問題。睡眠薬代わりにお酒を飲む人がいるがかえって良くない。お酒は肝臓にダメージがあるし眠りにつくことができてもすぐに目が覚めてしまう。