12月28日(日)「教会の使者」説教要旨

           聖句
旧約
 「すべての道で主を認めよ、そうすれば、主はあなたの道をまっすぐにされる。自分を見て賢いと思ってはならない、主を恐れて、悪を離れよ。そうすれば、あなたの身を健やかにし、あなたの骨に元気を与える。あなたの財産と、すべての産物の初なりをもって主をあがめよ。そうすれば、あなたの倉は満ちて余り、あなたの酒ぶねは新しい酒であふれる。わが子よ、主の懲らしめを軽んじてはならない、その戒めをきらってはならない。主は、愛する者を、戒められるからである、あたかも父がその愛する子を戒めるように。」
  (箴言3:6-12)

新約
 「わたしがあなたがたに対して持っている同じ熱情を、テトスの心にも与えて下さった神に感謝する。彼はわたしの勧めを受けいれ、そして更に熱心になって、自分から進んであなたがたのところに行った。わたしたちはまた、テトスと一緒に、ひとりの兄弟を送る。この兄弟が福音宣伝の上で得たほまれは、すべての教会に聞こえているが、そのうえ、彼は、主ご自身の栄光があらわれるため、また、わたしたちの好意を示すために、骨を折って贈り物を集めているわたしたちの同伴者として、諸教会から選ばれたのである。そうしたのは、わたしたちが集めているこの寄付金のことについて、人にかれこれ言われるのを避けるためである。わたしたちは、主のみまえばかりではなく、人の前でも公正であるように、気を配っているのである。また、もうひとりの兄弟を彼らと一緒に送る。わたしたちは、多くの事について彼が熱心であったことを、たびたび認めた。彼は今、あなたがたを非常に信頼して、ますます熱心になっている。テトスについて言えば、彼はわたしの仲間であり、あなたがたに対するわたしの協力者である。この兄弟たちについて言えば、彼らは諸教会の使者、キリストの栄光である。だから、あなたがたの愛と、また、あなたがたについてわたしたちがいだいている誇とが、真実であることを、諸教会の前で彼らにあかししていただきたい。」
   (Ⅱコリント8:16-24)

  エルサレムの親教会に対する寄付金を集める際、パウロはきわめて細心の注意をしています。よく純真な信仰者の場合、信仰には熱心でも、この世のことになると、全く非常識で話にならない人もいます。しかし、パウロは違います、この世のことでもなかなかの苦労人です。五章のところで、「もしわたしが心狂っているならば、神のため、心確かならば、あなたがたのため」(5:11)と言っています。パウロは世間知らずの信仰者ではなく、世情のことにも通じた、常識人であります。「自分は神に知られているのだから、人に知られなくてもかまわない」などと言って、平然とする非常識ないちずな信仰者とは違います。粋も甘いもかみ分けた、この世にもたけた人間であります。

  しかし、第一に注目するべきことは、ここでパウロは、神への感謝から始めていることです。「わたしたちがあなたがたに対して持っている同じ熱情を、テトスの心にも与えてくださった神に感謝する」と。どんなすぐれた教師であれ、親であれ、人間が人の心を動かすのではなく、ただ神のみが、そのことをするのであります。さらにパウロはここで、ほかに二人の兄弟を送りだしています。それは寄付金のことは、お金を扱うことですから、慎重にしないといけないからです。「自分は神に知られているから、公明正大だ」などとは申しません。パウロは念には念をいれ、「さらにもう一人わたしたちの兄弟をいっしょに送ります」と言っています。それはパウロが選んだのでしょうが、しかし、パウロ一人ではありません。諸教会が選んだのです。しかもその人物は、証明ずみの人物です。ここまで丁寧にしたのは、金銭を扱うからです。

  パウロはここで個人プレイをせずに、複数の人を選んでいます。イエスもまた弟子を二人ずつ遣わしました。「二人または三人の証人の口によって、すべての事柄が確認されるためです」(マタイ18:16)。証人というものは、天才のように一人でそびえ立つのではなく、常に同労者と共に立つのです。しかも寄付金の扱者は、誰でもいいのではありません。「諸教会の使者、またキリストの栄光」、この二つが必要です。しかもパウロは、さらに「そこであなたがたの愛と、あなたがたについてのわたしたちの誇りとが、真実である証しを示してください」と言っています。それはコリントの教会の側にも、誠意と真実をもって応えることを要求しているのであります。人間の誠意は、片方だけではなりたちません。常にそれは相互関係であります。このような念を入れた配慮のもとに、この募金活動は行われているのであります。この世的なことに対するパウロの、このゆきとどいた配慮は、現代の信仰者もまた学ぶべきであります。
   


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